第268話 緊急! お泊り会!!



「それじゃぁ失礼します」


「気を付けてね、なんだったら泊ってもいいだよ?」


「絶対に嫌です」


「なんで食い気味に言うの!?」


 俺は川宮さんの家を後にした。

 晩飯をごちそうになったのでもうすっかり夜だ。

 早く帰って風呂に入って寝よう。

 今日買ったゲームは明日にでもプレイしよう、今日は疲れた……。

 

「そう言えば風呂上りのアイスがもう無かったな……買って行こ」

 

 俺は帰る途中にコンビニによった。

 夏場は風呂上りにアイスを食べたくなるので、いつもストックしているのだがたまに姉貴に食べられてしまう。


「姉貴の奴昨日俺のアイス食べちまったからなぁ……」


 アイス代を支払えと言ったら「それじゃぁ身体で払うわ」とか意味の分からないことを言って来たのでアイス代が諦めた。


「どれが良いかなぁ~……あ、すいません」


 俺はアイスに夢中で他のお客さんにぶつかってしまった。


「いえ、大丈夫なの……あ」


「ん? げっ……い、井宮……」


 井宮だった。

 気まずい!

 だって、俺この前告白されてから井宮と話してないんだよ!?

 なんでこんな所で遭遇しちまうんだよ……。


「アンタも買い物?」


「え? ま、まぁ……」


「そう、そう言えばアンタ珍しく昨日はログインしてなかったじゃない」


「え? あ、あぁ……忙しくて……」


 なんだ?

 以外と普通だな……もしかしてあの告白って俺の気のせい?

 別に告白とか井宮してない?


「そう、ログインする時は言ってよね? アンタとゲームしたいから」


「あぁ、悪い悪い。なんか面白そうなイベントとか来た?」


「今のイベントメチャクチャ良いわよ? 育成素材集まりまくるし」


「マジか! いいなぁ~俺も今日やろうかな?」


「じゃぁ一緒にする? 手伝うわよ」


「おぉ頼むわ!」


「じゃぁまた私の家でする?」


「え? 今からか?」


「そう」


「いやいや、流石にそれはまずいだろ? 親御さんにも迷惑だし」


 それ以前に夜に男友達を家に招くのはまずいだろうし、流石に俺も井宮の冗談だと思っていた。


「今日は私の家誰も居ないのよ、だから別に良いわよ」


「え? ま、マジ?」


「うん」


 どうやら冗談ではなさそうだ。

 いやいや、猶更それはまずいだろ!

 若い男女が夜に同じ家に二人きりはどう考えてもまずい!

 てか、親御さんがそんなことを知ったら絶対に許さないだろうし。


「てか、普通に夜家に一人って不安なんだけど」


「い、嫌でも流石に……俺男だし……友達とか呼んだらどうだ?」


「今から女の子の友達呼べるわけないでしょ? もう暗いし」


「いやそうだけど……」


「……不安だから来て欲しいんだけど」


「うっ……」


 まぁ確かに家に一人は心細いかもしれない。

 しかしなぁ……。

 そんな事を俺が考えていると、井宮は俺の腕を掴んできた。


「ねぇ、ダメ? 私はアンタと一緒が良いんだけど……」


「う……う~ん……」


 そして……。


「あぁ、うん……今日は友達の家に泊るから。うん、大丈夫だよ」


「親への電話終わった?」


「あ、あぁ……」


「じゃぁ、食べる物とか買って行こっか」


「お、おう……」


 緊張する俺とは反対に井宮はなんだか冷静で、しかもなんだか嬉しそうにしながら買うものを選んでいた。

 やっぱりこいつ俺の事……。

 いやいや、うぬぼれるな俺!

 きっと一緒にゲームが出来るのが嬉しいだけだ!


「ねぇ、今日は徹夜する?」


「あぁ、どうせ緊張して眠れなさそうだしな……」


「なんで?」


「いや、他人の家だと妙に緊張して眠れないだろ?」


「私と二人だからとかじゃなくて?」


「な、ななななんでだよ? お前と一緒だからってききききき緊張なんてしねーよ」


「緊張しまくりじゃない」

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