第264話 女人禁制

「はぁ……」 


 別な意味で夏休みが終わるのが嫌だと本気で思ってしまった。

 なんで昨日まで普通に接してた奴とここまで合うのが気まずいと思っちまうんだ……。


「やっぱり面倒くせぇ……」


 そうは言いつつも面倒臭いの一言ですまない所まで自体は悪化していた。

 川宮さん高ノ宮、高城に井宮……まさか四人に好かれるなんてそんな想像誰が出来る?

 

「モテる男は辛いか……」


 良く言ったもんだよ、確かに色々な意味で辛いわ。

 モテキか?

 俺にモテキが来たのか?

 昨日徹夜でやった恋愛シュミレーションゲームからは正直何も得られなかった。

 やっぱりゲームと現実は違う。

 しかし、このままという訳には行かない。

 そうだ、まだ夏休みは数日あるんだ。

 今日はとりあえずゲームをして気を紛らわそう。

 そうだ、そうしよう。

 

「よし、とりあえずオンラインゲームに……ん?」


 意気揚々とログインして俺は直ぐに気が付いた。

 井宮がログインしていることに……。


「………や、やっぱりゲームばっかりは流石にな! 体調に悪いしな!」


 俺はなんとなく気まずさを感じてオンラインゲームをそのままログアウトした。

 そうだ、天気も良いし外に買い物にでも行こう!

 昨日やった恋愛シュミレーションゲームの続編でも買いに……。


「あ、先輩」


 がちゃん。

 俺は玄関を開けてそのまま締めた。

 なんと間の悪い事に外には私服姿の高ノ宮がいたのだ。

 なんでよりにもよって俺が家を出ようと思った時に居るんだよ!

 もしかして俺の部屋を監視してるのか?

 などと考えていると、家のチャイムが鳴った。


「先輩なんで締めるんですか! 私と会うのがそんなに気まずいんですか!」


「正直そうだ、すまん」


「正直ですね……気まずいのは私の方も一緒ですよ! 良いから一緒に買い物に行きますよ!」


 あれ?

 俺いつこいつと買い物に行く約束なんてしたっけ?

 

「いや、行かねーよ! 勝手に行け!」


「何ですかその言い方! それでも男ですか!?」


「男関係無くない!?」


「まぁ、とりあえず出て来ましょうよ。諦めて」


「何をだよ! 俺だって出掛けるんだよ!」


「じゃぁ、一緒に行きましょう! それが良い!」


 なんで後輩の女子と一緒にギャルゲー買いに行かなきゃ行けないんだよ!

 井宮ならまだしも、こいつと一緒に言ったら絶対に何か言われる……。

 なんとか断りたいがどうする?

 こうなるとこいつは意地でもついてくるしな……。

 そうか、こいつが一緒に行けない場所に行くことにすれば良いのか!

 そう考えた俺は早速高ノ宮に行き先を伝える。


「悪いな高ノ宮、今日行く場所はお前はついてこれないんだ」


「え? 私がついて行けない場所ってどこですか?」


「え? えっと……」


 し、しまった!

 そんな場所考えてなかった!!

 何処かないか?

 高ノ宮が一緒に来れない場所は!

 うーん、考えろ!

 考えるんだ俺!

 高城みたいな女の子が来れない場所は……そうだ!


「今から行くのはR指定の掛かっている映画館だからな!」


「え? R指定……」


 そうだ、映画館のR15指定の映画を見ることにしてしまえば良い。

 高ノ宮はまだ14歳で15歳にはなっていない。

 だが俺はもう15歳でR15の映画を見ることが出来る。

 これなら高ノ宮も諦めるだろう。


「ま、まさか先輩あの映画見るんですか?」


「え? あ、あぁまぁそうだけど?」


 なんだ?

 適当に言ったけど今R15の映画って上映してるのか?

 まぁそれなら都合がいい。

 これで高ノ宮も諦めるだろう。


「へ、へぇ……な、なるほど……先輩ってそういう趣味だったんですね……わ、分かりました。お邪魔してすいません。あ、あの……そんな趣味があっても私は先輩の事好きですからね」


「お、おう?」


「そ、それじゃぁ……」


 一体なんなんだ?

 やけにあっさり引いたな、てかなんか映画の話をしてからは随分大人しかったような……一体今はどんな映画を上映をしてるんだ?

 俺はスマホを使って今上映中のR15指定の映画を調べた。

 どうせスプラッター映画やホラー映画だろうと思っていた俺だったのだが、俺の予想は遥かに裏切られた。

 現在上映中のR15指定の映画は一本、しかもタイトルは……。


【男達の純愛、女人禁制の花園】


「しまたぁぁぁぁぁぁ!!」


 完全にホモ映画だった。

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