第256話 海行くぞ21
「あの馬鹿共よりはマシなアドバイスが聞けると思ったんだが」
「まぁ、あの馬鹿どもよりはまともな事を言えるとは思う」
英司にこんな質問したら恐らく九条は校庭に埋められる。
恐らく八代に質問したら「当たって砕けろ」とか言いそうだしな。
しかし、俺には恋愛経験なんてまったくないぞ?
あるのは恋愛シュミレーションゲームの経験だけだぞ。
うーん、こういう場合ゲームだと主人公は何をしていたかな?
てか、主人公ってゲーム開始時点でヒロインと知り合いだったり、知り合う切っ掛けがあるんだよな?
切っ掛けか……。
「とりあえず話し掛けないと始まらないだろ? 好きならなおさらだ」
「それは分かってるんだが、話しかける切っ掛けがな……」
「そう言うのなれてるだろ?」
「馬鹿言え、俺だって女子…しかも好きな子に話しかけるのは緊張すんだよ」
あんだけキャーキャー言われてるのに?
なんて事を思いながら俺と九条は次のゲームに移動する。
「普通にお前と話しがしたいで良いんじゃね?」
「そんなきざなこと言えるか! 良いか? 好きな子に話しかけるってかなり勇気のいる行動なんだぞ!」
「そうは言われてもなぁ……」
そんな事俺はした事ないから分からない。
好きな女の子に話しかけるのってそんな大変なのか?
別に普通に声を掛ければ良いと思うんだが……。
「でも、そんなんだったらいつまでたっても前に進まないだろ?」
「まぁ……そうだが」
「学校始まったら夏休み何してた? みたいな感じで質問してみたら良いんじゃね?」
「なんで急に話しかけてきたんだろう? とか思わないかな?」
「まぁ、俺だったら思うな」
「そう言うのが嫌なんだよ! だから何か話し掛けやすい話題とかないか?」
「話し掛けやすい話題ねぇ……」
初対面の相手に話し掛ける切っ掛けか……。
うーん……何か共通の話題とかがあれば楽なんだが……そう言うのもなさそうだしなぁ。
「その子に話し掛けないといけない状況を作るってのはどうだ?」
「なんだよそれ?」
「要は切っ掛けだろ? 例えばあいつが呼んでたよ? とかそう言う感じで彼女に声をかける」
「でも、それだとそこで会話終了だろ?」
「いや、本格的な会話はその後だ、呼び出す相手をお前の知り合いにしておいて、その後で『お前ってあいつと仲良いの?』的な感じでそいつをダシにして話題を作るんだよ」
「なるほど……そうすれば話す切っ掛けが作れるわけか……でも誰にその呼び出す相手の役をしてもらうんだ?」
「それは自分で考えろよ」
「だが、うちのクラスの男子に頼んでも恐らく快く思わないぞ?」
「あぁ、それどころか絶対邪魔してくるな」
「馬鹿ばっかりだからな……」
そんな話をしていると九条がジッと俺を見てくる。
「な、なんだよ?」
「お前……別に俺の邪魔しないよな?」
「おい、何を考えてやがる?」
「お前で良いじゃん」
「はぁ?」
「お前が適任じゃん」
やばい……また面倒な事に巻き込まれる予感がする……。
「この話を知ってるのもお前だけだし、お前が一番適任じゃん! 協力してくれよ!」
「なんでだよ、そんな面倒な事はごめんだ」
それに今は高城の事とか井宮とか、コッチだって色々忙しいんだ。
他人の色恋を手伝う暇なんてない。
「頼むよ、お前の相談にも乗ってやるから」
「別に大丈夫だ。高城はともかく井宮はほっとけばそのうちいつも通りになるし」
「じゃぁ、高城さんの事はどうするんだよ?」
「それは……まぁ、なんとかするよ」
色々考えて答えを出さないとだし。
それにこいつには言ってないけど、他に二人同じような状況の奴が居るし。
「いやいや、絶対お互い協力した方が良いって、そうしようぜ」
「なんでだよ、俺をこれ以上厄介事に巻き込むな!」
「じゃぁ、昨日の話をクラスの他の男子にばらすぞ」
「お、お前…それは反則だろ!」
こうして俺は九条に協力することになってしまった。
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