第254話 海行くぞ19
*
なんだかかんだで騒がしかった海旅行も終わりを向かえていた。
チェックアウトした後はそれぞれ解散という流れにしており、帰りに遊びに行こうと話している奴らもいたのだが、俺はそんな場合では無かった。
「………」
「………」
気まずい。
高城とは昨日のことがあってから話をしていない。
しかも井宮までなんだか様子が変だ。
朝のあの出来事から俺と目を合わせない。
二人とも帰る方向が同じだというのに……。
「平斗! ゲーセン寄って行こうぜ!」
「昨日行ったんじゃねーの?」
悩んでいる俺にそう言ってきたのは英司だった。
背中を叩きながらそう言ってくる英司の背後には九条と八代、そして最上がいた。
「ここで解散ってのはちと面白味に掛けるだろ?」
「部活も休みだしな」
「もう少し遊んでいこう!」
「俺は色々と考えたいんだが……」
そう言いかけた俺だったが、よくよく考えるとこいつらの案に乗った方が良いのではないとか思い始めた。
このまま行けば、帰りはあの二人と一緒だ。
今この状況であの二人と一緒に帰るのは色々と気まずいし、息が詰まる。
ここはこいつらと時間を潰すためにゲームセンターに行こう。
アーケードゲームもしたいし。
「わかった、付き合うよ」
「お、珍しいな! いつもはゲームするって帰るくせに」
「気分転換だよ、それにゲーセンだしな」
「でも、男だけってのは少し味気なくないか?」
「そうか?」
「じゃぁ、女子を誘うかい? おーい! 井宮さん、高城さん!!」
最上馬鹿野郎!!
なんでよりによってその二人を誘うんだよ!
俺が何の為にお前らとゲーセンに行くなんて選択肢を取ったと思ってるんだよ!
なんて事を考えながら最上を睨んでいると、既に話しがまとまったらしく二人がやってきた。
「二人も行くって」
「おぉ! やった! 流石は最上!」
「じゃぁ早く皆で行こうぜぇ~!」
呑気にはしゃぐ八代と英司。
昨日俺が話した言葉は忘れたのだろうか?
しかし、ここでやっぱり行かないなんていったら二人共嫌な感じするだろうしなぁ……。
クソ……最上め、後で覚えてろよ。
「おい、大丈夫か? 気まずいんじゃないか?」
「九条……お前だけだよ常識人は……」
流石はイケメンサッカー男子。
俺の気持ちを良く分かってくれてる……。
そんなこんなで男五人女二人でゲーセンに行くことになった。
相変らず高城と井宮とは会話は無く、目すら合わせてくれない。
この状況どうしたら良いんだよ……。
ゲーセンは地元の大きいゲームセンターに向かった。
荷物をロッカーにいれ、俺たちはゲームセンターに散った。
「八代! エアホッケーやろうぜ!!」
「お、良いな! やろうぜ!」
八代と英司は呑気のエアホッケーをしに行った。
「おい最上、女子二人頼む。俺は前橋とバスケゲームしてくる」
「なんだって!? じゃぁライバルの僕も勝負を……」
「今日は前橋俺に貸せ、ほら行くぞ前橋」
「あ、あぁ……」
急に九条にそういわれ、俺と九条はバスケゲームの前にやってきた。
「あの二人と一緒だと気まずいだろ?」
「悪いな」
「気にすんな、馬鹿ばっかりだからなうちのクラスは……」
九条はそう言いながらバスケゲームを始める。
やだ、こいつカッコいい。
やっぱり本物のイケメンは違うなぁ……。
「それで、お前ってどっちが好きなの?」
「え?」
「井宮さんと高城さんだよ。見てれば分かる」
「い、いやなんで井宮まで出てくるんだよ」
「え? お前井宮にも告られたんじゃないの?」
「いや、告られてねぇけど……」
「………悪い、勘違いだったようだ」
そう言いながら九条はゴールを外した。
しかし、なんで九条はそんな事を思ったのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます