第253話 海行くぞ18
「良いなぁ~」
「ドンマイ」
「はぁ……仕方ない今回は諦めるか……」
「まぁ、そういう時もあるだろ? 来週はお前の好きな格ゲーの発売日だし」
「そうなのよ! なんで夏ってこんなに面白いゲームばっかり出るのかしら……」
「さぁ? それで、お前はなんでこんな朝早くにここに居るんだ?」
「え……あぁ、なんか目が覚めちゃって」
「そうか……俺もそんな所だ」
そう言えば井宮って高城と最近中良いよな?
高城の事とか相談して見ようかな?
あの馬鹿共よりももしかしたら的確な意見をくれるかもしれない。
それに井宮は女子だ。
女子目線の意見と言うのも聞きたい。
俺はそう思って井宮に相談する事にした。
「あのさ」
「何よ」
「高城から告白されたんだけどさ……」
「うん……え?」
「だから、高城から告白されたんだけど相談に乗ってくれないか?」
「え? あ……うん……そ、そうなんだ……へ、へぇ……まぁ良いけど」
なんだか井宮は複雑そうか表情をしていた。
いつもなら「物好きも居たものね」なんて俺を少し小馬鹿にした発現をするはずなのだが、なんだかいつもとは違う反応をしている。
まぁ、知り合い同士の色恋だし少し驚いのかもしれないな。
「それで実はだな……」
俺は川宮さんの事や高ノ宮の事なども話した。
井宮は話を聞いているようではあったが、なんだかいつもと違っていた。
何かを考えながら聞いているというか、不自然なくらい真面目に聞いていた。
「そう言う訳でな……」
「なるほどね……モテモテね」
「あぁ、そうだな」
「認めるのね」
「流石に三人に告られたらな……それでどうしたら良いと思う?」
「アンタはどうしたいのよ?」
そう聞いてきた井宮の声は少し怖かった。
真っすぐに俺を見て、まるで私に頼るなと言いたげな目をしていた。
告白されたのは俺だ。
きっと自分で答えを見つけ、誰かと付き合うのかそれとも全員振るのか考えろと言われている気分だった。
「結局アンタが決めることでしょ? それとも何? 皆好きで選べないとかそんな贅沢悩みなの?」
「いや、そういう事では……」
「じゃぁ、自分のしたいようにしなさいよ。全員を振るのか、それとも誰かと付き合うのか……決めるのはアンタでしょ?」
「そうだけど……正直関係が壊れるのが怖いんだよ……」
「春先のアンタからは考えられない言葉ね」
「……まぁそうだな」
最初はボッチで良かったんだがな……なんだか考え方が変わってしまった。
色々な事があったからだろうか?
それともこのキャラの濃い奴らに毎日囲まれているからだろうか?
俺まで変に鳴ってしまったらしい。
「まぁ、私から言えることは一つよ。しっかり考えて誠実な答えを出しなさい。付き合えるのは一人だけなんだから」
「そもそも付き合うって事自体がよくわかってないんだが……一体何をするんだ?」
「そ、それはあの……あれよ、二人でランチに行ったり映画に行ったり、買い物なんかも良いわね。あ、でもお部屋デートでも私は良いかな?」
「なるほど……それって友人関係と何か違うのか?」
「あのねぇ、異性と二人きりでそう言う事をするのを付き合ってるっていうのよ。あんた女友達とこんなことする? しないでしょ? したとしても同性の友達とか……」
「いや、お前と何度かあるぞ」
「え……」
「いや、この前なんて二人でイベントに言ったし、お前の部屋にだって……」
「あ……」
俺がそう言うと井宮はどんどん顔を赤くしてリンゴのように真っ赤になっていた。
そしてハッとして立ち上がり俺にこう叫ぶ。
「ち、違うから!! そう言うんじゃないから! ご、誤解しないでよ!!」
「え? 一体お前は何を……」
「ご、誤解だからぁぁぁぁぁ!!」
「え? あ、おい!!」
そういうと井宮は顔を真っ赤にして走ってホテルに戻って行った。
一体なんだったんだ?
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