第252話 海行くぞ17
*
ひとしきり騒いだ後俺達は眠りについた。
深夜テンションというやつだろうか?
ジュースなのに全員テンションが高くて大変だった。
最終的には全員好きな人を言う流れになったが、そもそもその場に居る全員現在好きな人が居ないという結論に居たり、そのまま眠りについた。
そして、俺は早朝5時という変な時間に目を覚ましてしまい、ホテルの外を散歩していた。
「はぁ……変な時間に起きてしまった……」
二度寝をすれば良かったのだが、なんだか眠くなくなってしまい天気も良いので外に出てきた。
昨日の事も色々考えたかったこともあり、俺は朝の海岸を散歩することにした。
朝だと言うのに結構人も居る。
ランニングをするお兄さん、犬の散歩をするお姉さん、そして海岸でスマホゲームをする……井宮。
「何やってんだあいつ……」
そこに居たのはまぎれもなく井宮だった。
朝から海岸で真剣な顔でスマホゲームをしているようだ。
スマホの画面に夢中で恐らく俺の存在には気が付いていない。
「うぅ…水着キャラ……あと一体なのに……こ、こうなったら課金するしか……」
「課金は個人の自由だが、あんまり調子乗って課金しまくるなよ?」
「え? ま、前橋!? あ、アンタが何でここに!?」
井宮はすごく驚いていた。
まぁ、早朝の5時だし、夏休みに入って朝方までゲームをしている俺がこんな時間に起きるなんてありえないと思ったんだろうな。
「目が覚めちまったんだよ、お前こんなところで何してんの?」
「いや……石が溜まったから水着ガチャを……」
「お目当ては出たか?」
「お目当てだけ出ないのよ!! 他のどーでも良いのは出るのに!!」
「物欲センサービンビンだな。課金するの?」
「したいけど……今月結構厳しいのよ……で、でもこの子は欲しいし……」
「ゲーマーの悲しい所だな……」
ゲームをあまりしない人から見たらたかがデータに何千円も出すなんてバカげていると思うかもしれない。
しかし、俺には井宮の気持ちが痛い程わかる!
欲しくなるんだよなぁ~水着ガチャとかフェス限定とかコラボ限定とか言われると……でも俺達はまだ高校生、そんなに馬鹿みたいに課金出来る財力はない。
なのでこうして悩むのだ。
「そう言えば俺もそのゲーム結構石溜まってたな……」
俺は井宮の隣に座りスマホを操作し始める。
「アンタも引くの?」
「まぁ、結構やってるしな、それに水着ガチャだぞ? 引かないわけないだろ?」
「その意見にはマジで同意」
そんな感じで早朝朝五時から俺はスマホゲームのガチャを引く。
石の個数から考えて十連ガチャが3回は出来る。
このゲームの確率からして30連でも水着キャラを当てるのは厳しい。
しかし、当たった時は相当嬉しい。
「じゃぁ一回目」
「え? いきなり虹演出じゃない!!」
「そうだな……あ……」
なんと十連一回目で水着キャラをコンプリートしてしまった。
とは言っても限定キャラは二体。
しかし、これは誰が見ても神引きだった。
そしてもう一体のキャラは井宮が喉から手が出る程欲しいキャラ……」
「あぁぁぁぁ!! な、なんでアンタが出すのよ!」
「わりい……なんか出た」
「なんか出たじゃないでしょ! 私なんかこのゲームかなりやり込んでるし、それなりに課金してるのよ!」
「ま、まぁこればっかり運だろ?」
「はぁ……羨ましい……」
いつもはこんな幸運そうそう無いのだが、変なところで運を発揮してしまった……。
「ま、まぁこんな事もあるだろ?」
「そうだけど……はぁ……良いなぁ~ねぇ性能見せてよ」
「あぁ、はいよ」
そう言う井宮に俺はスマホを渡す。
井宮は羨ましそうな顔で俺のスマホを凝視していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます