第250話 海行くぞ16
*
「いやぁ~遊んだ遊んだ」
「まさかエアホッケーがあそこまで白熱するなんてな」
「いや、お前ら二人が突然パック三つに増やすから分けわからんことになってたんだろうが……」
「しかし燃えたな!」
「どこに燃える要素があんだよ! ほとんど反則じゃねーか」
部屋に戻って考えことをしていると同じ部屋の四人が帰ってきた。
どうやら四人でエアホッケーをしていたらしいが、英司と八代のチームが何かをやらかしたらしい。
まぁ、今の俺にはそんなことどうでも良い。
今の俺は……。
『ねぇ、誰と文化祭を回るの?』
「うーむ……一体誰と回るべきか……」
画面の向こうの四人の美少女の中から誰と文化祭を回るかを決める最中なのだ。
「お旅行先でなんでギャルゲーやってんだよ……」
呆れた様子で英司は俺の画面を覗きながら言う。
「ちょっと色々あってな……お前もするか?」
「今は良いけど今度貸してくれ」
「あいよ」
うーむ……同級生のメインヒロインか同じく同級生の幼馴染か、学園のマドンナである生徒会長の先輩か、生意気な後輩キャラか……なんて難しい選択なんだ。
どの子も可愛いから選びにくい!!
「にしても、恋愛シュミレーションゲームって全然リアリテー無いよな? 現実にこんな美少女ゴロゴロいねーし、しかもその美少女たちが全員なんでか平凡な主人公と接点持ってるとかありえないだろ」
「まぁ、そうだな……」
少し前だったら俺も英司の意見に同意していた。
こんなこと現実じゃ絶対起きねーよと笑って返事を返していただろう。
しかし、最近の俺はまさにこの主人公のような状況になりつつあるから怖い。
「はぁ~あ、一体どうしたら……」
「なんだよ急に? そう言えば高城さんからは何って言われたんだ?」
「え? あぁ……まぁ……いろいろな」
「なるほど………告られたんだな」
「いやお前はエスパーか!!」
もしかしてこいつ見てたのか?
いや、そんなはずはない。
あの海岸には隠れる場所もなかったし、それに英司はさっきまでゲームセンターに居たはずだ。
「なるほど……図星か」
「とりあえずその十円玉をどっさり入れた袋を下ろせ! それで殴ったら洒落になんねーから!!」
英司は何故か精気の無い目でフーフーと息を荒げながら俺をジッと見ていた。
普通に怖い……。
「え? なになに? 前橋告られたの!?」
「やっぱりな」
「やるな親友!!」
大声で話すから他の奴らにも聞こえてしまった。
その間にも俺のゲームの画面には返事を待つゲームの女の子達が居る。
俺はゲームを中断し、面倒な事になる前に寝てしまおうと布団に潜った。
「あ、おい逃げんなよ!!」
「水臭いな親友話を聞かせてくれよ!」
「面白そうだな! なんて言われて告られたんだ?」
「まぁ、前橋だし不思議でも無いだろ?」
やっぱり面倒なことになった……。
英司と八代は俺の被っていた布団を奪い取り、無理やり話しをさせようとしている。
あーマジでなんでバレたんだ……このままだと中々寝かせて貰えないかもしれないぞ……。
「まぁ、高城は前からそんな感じしたよな?」
「あぁ、まぁ予想通りって感じだな」
「そうなのか?」
「仲良いからな、高城と前橋は……んで、笹原その恰好なに?」
「え? 今からこの藁人形を使って呪いを掛けようと……」
「ホテルに迷惑だからやめろ」
「なんでこうなるんだよ……」
気が付くと俺は無理やり同じ部屋の四人に囲まれ、お菓子屋ジュースを囲んで話をする流れになっていた。
まぁ、英司だけは白装束を着て俺を呪おうとしてたけど……一体どこから出したんだよ……。
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