第245話 海行くぞ11



「飯かなり豪華だったな」


「あぁ、流石高級ホテルだけあるわ」


 食事を終え、俺は英司と共に部屋に戻る途中だった。

 ホテルの食事はかなり豪華なバイキングで俺達は大満足でレストランから部屋に戻っていた。

 

「後は部屋に帰って深夜までゲームをするだけだな」


「それはお前のルーティーンな、夜は長いんだ皆でいろいろする事があるだろ?」


「例えば?」


「女子部屋に行ったり」


「通報案件だな」


「なんでだよ! ちゃんと女子から許可は貰うわ!!」


「刑事事件だな」


「どこが!?」


 気分は修学旅行だな。

 男子も女子も食事の時かなりはしゃいでいたな。

 夜も騒がしくなりそうだ……。

 もっとも、俺たちは一応形式上招待されているし、それに俺達が止まっている階層には他に客も居ないので騒いでも問題はないだろう。

 しかし奴らなら何をするか分からないな。

 一応男子の部屋に釘挿しておくか?

 何かあったら幹事の俺に責任が来るだろうし。


「おい、部屋回って行こうぜ、馬鹿共が馬鹿しないように釘を挿しに行くぞ」


「あぁ、確かに馬鹿ばっかりだからなぁ~ホテルに迷惑も掛けられないし、言っておかないと聞かないからなあの馬鹿共は」


「お前もその馬鹿共の一部だけどな」


 そんな話をしながら俺達は各部屋を回って部屋に戻り始める。

 まずは一部屋目。


「おーい、お前ら夜中はホテルに迷惑……」


 そう言ってドアを開けた瞬間、黒装束に身を包んだクラスメイト四人が怪しげな音楽を流しながら、中央に小野を縛って座らせ何かの儀式をしていた。

 

「ん? なんだ前橋か?」


「すまない、今悪魔召喚の儀式中でな、後にしてくれ」


「あ、あぁ……ホテルに迷惑掛けるなよ?」


「ま、前橋! 助けてくれ! こいつらほん……」


 そう小野が言い掛けた瞬間、クラスメイトの男子によって部屋のドアを締められた。

 ま、まぁ……ホテルに迷惑を掛けて居ないならまぁ良いか……。


「おい、小野死なないよな?」


「大丈夫だろ? まぁ仕方ないな、女と仲良くした結果だ」


「仲良くしただけでうちのクラスではこうなるのか……」


 本当にうちのクラスは嫉妬が凄いな……。

 まぁいいや、隣の部屋に行くか。

 気を取り直して隣のクラスへ。


「おーいお前ら……」


 次の部屋に入った瞬間、そこでは男五人が真剣な表情で何かを相談していた。

 一体何をしているのだろうか?


「お前ら?」


「あぁ、すまない、今全員で屋上にある大浴場に行こうと言う話をしていたんだ」


「それにしては真剣だな」


「まぁな、覗きポイントがどこかにあるはずだと思ってな、全員で相談をしてたんだ」


「やっぱり肩車で向こうを見るとかどうだ?」


「いや、潜望鏡を使うというのも」


「それより大前提として男風呂と女風呂を隔てる塀なんてあるのか?」


 たしか大浴場は男女共に完全に別れていたはずだが……。

 まぁ、クラスから犯罪者が出ないことを願おう。


「まぁ、色々ほどほどにな」


 そう言って俺はドアを締める。

 まぁ、騒いでないなら良いか……。


「おい、次行くぞ」


「全く、あいつらみたいなのが性犯罪を犯すんだ」


「その割には混ざりたさそうにしてたけどな……」


「何を言ってるんだ! 俺は覗きなんて卑怯な真似はしない! 堂々と行く!」


「それもどうかと思うけどな……」


 最後の部屋にはしっかり者の池内が居るし、大丈夫か……。

 さて、いい加減部屋に戻ってゲームをするか。

 

「それじゃぁ戻ろうぜ」


「あぁ、でも女子の部屋は良いのか?」


「うちの女子はまだまともだから良いだろ」


「いやいや、騒いだら女子の方がうるさいパターンも多いぞ! 行こう! 直ぐに注意に行こう!」


「俺に付き合った理由はそれか……」


 面倒だと言って部屋に直ぐに戻らなかったのはそう言う理由か……。

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