第243話 海行くぞ09

「どうかした?」


「え? い、いやなんでも……」


「なんか私の顔をジッとみてるからさ……何かついてる?」


「いやそう言う訳じゃないが……なんか今日優しくないか?」


「もう、それどういう意味? まるで私がいつもは優しくないみたいじゃない」


 そう言いながら頬を膨らませる高城。


「いや、そういう分けじゃないが……」


「罰として夕方まで部屋に戻るの禁止ね」


「え!? いや、もう良いだろ? クラスの奴らにも付き合ったし、海にも入ったし、そろそろ俺にゲームをさせてくれ!!」


 じゃないとそろそろ禁断症状が出そうだ!!

 まぁ、禁断っていうほどの症状でも無いけど。


「ダメでーす。たまには私とも遊んでよ……」


「え?」


「聞いたよ、この前椿ちゃんと遊び言ったんでしょ?」


「あ、あぁまぁな」


「私とは遊んでくれないのに椿ちゃんとは遊ぶんだね」


「え? いや、別にそういうわけじゃ……」


「なら私にも付き合ってよ」


 なんだ?

 なんでそんな事を言い始めるんだ?

 あぁ、あれか。

 昔は毎日のように一緒に遊んでたのに、なんで今は遊んでくれないの的な奴か。

 確かに高校に入って、高城がぶーちゃんだと分かったがあんまり一緒に遊んでないもんんなぁ……まぁ、高城がクラスでも人気の美少女になっちまって俺が少し敬遠してるってのも事実なんだけど……。


「わかったよ、でも付き合うって具体的何をするんだ?」


 こうなったら仕方ない。

 今日は高城に付き合うか。

 高校でも仲良くするって言ったのは俺だし。


「具体的に……うーん」


「考えてないのかよ」


「ご、ごめん……海ってみんなで遊ぶには良いけど二人だと何をしたら良いかなって思って」


「じゃぁ他の奴も誘えば……」


「それはダメ!!」


 俺がそう提案したのだが、高城は俺が言い終える前にそう言って俺の言葉を遮った。

 

「なんでだよ?」


「そ、それは……お、大人数だと圭司君疲れちゃうと思って!!」


 あぁ、なるほど。

 確かに疲れるなぁ……特に男子の相手とかすると。


「なるほどな、高城も俺に気を使ってくれたわけね」


「う、うん。まぁそんな感じ」


「分かったよ、じゃぁとりあえず海の家とか言って見るか? 丁度飯の時間だし」


「そ、そうだね!」





 この夏は絶対に彼を振り向かせる!!

 私は燃えて居た。

 だから、私は頑張ってビキニを購入し海で彼に迫って私を異性として認識させ、彼との距離を縮めることを考えていた。

 

「もう、椿ちゃんには負けてられない」


 私の恋敵で友達の井宮椿ちゃんは彼と良好な関係を着実に構築している。

 しかも既に互いの家に行き、二人でお出かけまでしているらしい。

 大分大きく差をつけられたけど、まだ間にあう!

 

「大丈夫、私はもう昔の私じゃない」


 昔のコンプレックスは克服した。

 今の私は結構スタイル良い方だし、きっと大丈夫。

 そう自分に言い聞かせながら、私は勇気を出して砂浜で笹原君と話をする彼に声を掛けに言った。

 もうこんな関係終わりにするんだ。

 そして絶対に圭司君に好きだって言う。



「さーて何を食うかなぁ」


「色々あるね」


 海の家で食べる物はなんでも美味しい印象だ。

 子供の頃、海の家で食べた焼きそばとコーラは格別に美味かった気がする。

 きっと遊び疲れてかなりお腹が減っていたからだろうが、美味しかったことに変わりはないし、今の俺は腹ペコだ。

 例えその焼きそば普通に食ったら対して美味しくなくても、例えコーラが普通に値段より50円も高くても、俺はこの海の家で食べる飯は基本的にどこよりも美味いと思っている。


「とりあえず焼きぞばとコーラかな」


「じゃぁ、私は……うどんにしようかな?」


「うどんも置いてるのか?」


「うん、ラーメンにうどんに焼きそば、麺類は結構色々あるよ」


 やっぱり需要があるのだろうか?

 確かに海の家でラーメンとか焼きぞば食ってる人は多いな、うどんは知らないけど。

 


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