第240話 海行くぞ06



「第一回」


「どきどき男だらけの!」


「「ビーチフラッグ対決ぅ~!!」」


「「「「いえぇ~い!!」」」」


「「「「いや、ちょっとまてぇぇぇぇい!!」」」」


 ノリノリで井宮と俺がコールしたのに対して男子が何故か不満そうにしていた。

 なんだ?

 一体どうしたんだ?

 女子は乗ってくれたのに。


「おやおや、男子から不満の声が上がっていますね」


「どうしたんでしょうかね」


「いや、どうしたんでしょうかね? じゃねぇよ! なんで男子だけでビーチフラッグなんてやんなきゃいけねーんだよ!」


「いや、お前らが女子との仲を取り持てって言ったんじゃん」


「だからってなんで俺たち男子だけでビーチフラッグなんだよ! 絶対おかしいだろ!」


「いや、女子がビーチフラッグなんてやったら水着がズレたり、外れたりして色々大変だろ? なので今回は男子だけです」


「「「「それが良いんだろうが!!」」」」


「「「「良いわけないでしょ!!」」」」


 男子の突っ込みに女子全員が全力で返す。

 まぁ、当たり前だな。

 

「というわけなので、今回は女子に男子の中で誰が一位になるかを予想して貰い、的中数の多かった方には商品を贈呈します」


「「「「いえぇーい!!」」」」


「選手である男共にも商品用意してっから、張り切ってがんばれー」


「商品ってなんだよ!」


「商品がわからねぇとやる気でねぇだろ!!」


 全くうるさい男子どもだ。

 俺が5分で考えたこの企画になにか問題があるとでも言うのか?

 

「優勝商品は……あそこにある海の家で食える特製かき氷のペア券です」


「「「「喧嘩売ってんのかこらぁ!!!」」」」


 えぇ……なんで怒るんだよ。

 美味いかき氷が食えるんだぞ?

 てかこのペア券結構高いんだぞ。

 しかもかき氷はテレビでも取り上げられたメチャクチャ美味いやつだし……。


「ま、まてそのペア券を手に入れれば女子と二人でかき氷を食いにいく切っ掛けになるのはではないか!!」


「な、なるほど!!」


「女子は皆かき氷が大好きだ!」


「「「「そ、そういうことか!!」」」」


「前橋は幸せは自分で勝ち取れと!」


「そういう意味なのか!?」


「あいつは俺達に最高のチャンスを与えてくれたぜ!」


「よっしゃ! 燃えてきたぁぁぁ!!」


 なんか知らんが勝手に納得したみたいで良かった。

 急に商品なんか用意できねぇから適当に用意したけど、やっぱり人気だと食いつきが良いな。

 

「それでは女子の皆さん投票をお願いしまーす。男子の皆さんはスタート位置に並んでくださーい」


 井宮が女子の投票用紙の回収に向かい、俺は男子の方を誘導し始める。


「あれ? 圭司は出ないのか?」


「俺は井宮と司会だ」


「まぁライバルが減るのは良いか……よっしゃ! これで勝手俺はクラスの女子を誘ってかき氷食うんだ!!」


 なんか知らんが燃えてる英司。

 頼むから勢い余って海パンが脱げちゃったみたいな悲劇は起すなよ……。


「ビーチフラッグか……八代やったことあるか?」


「いや、無いけどサッカー部には負けねぇよ」


「言ってくれるな、サッカー部の足腰を舐めるなよ? 予選敗退野球部」


「それはお前のとこもだろうが!!」


 野球部とサッカー部の体育会系な奴らはこの手の勝負が好きなようだ。

 一方の女子はというと……。


「私は九条君かな? サッカー部だし」


「でも八代君も野球部で体力ありそうだよ?」


「陸上部の小野君もありそうよね」


 なんか意外と皆楽しいそうだなおい。

 ノリノリで投票してるよ。

 てか、井宮の奴一体何を景品にしたんだ?

 

「さぁ、投票も終了し選手も準備が整いました! 人数が多いので男子は5人づつ4組に分けて走ります! 一位になった人はその後の決勝グループに駒を進めます」


 最初の選手は九条、八代の居る組だ。

 残りの二人は文化部だし、これは九条と八代の実質一騎打ちだな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る