第237話 海行くぞ03

「夜は枕投げだな!」


「いや、全員で大富豪だろ?」


「馬鹿か体育会系コンビ! 女子部屋に遊びに行くんだよ!」


 既に嫌な予感しかしない。

 まぁ、だが先に寝てしまえば実害はないか……。

 

「じゃぁ、俺たちも着替えて海行こうぜ」


「そうだな!」


「早く女子の水着を拝みにいくぞぉぉぉ!!」


「ビキニ! レオタード! スク水!!」


「レオタードは水着じゃねーよ……」


 やたらテンションの高い四人と共に俺たちは宿泊するホテルの部屋に向かう。

 ちなみに池内だけ隣の部屋だ。

 五人で使うのはかなり広々とした部屋だった。

 中には大きなベッドが五つとテレビ、それにユニットバスなどがあってかなり快適な空間になっていた。

 しかも窓からは海が見える。

 これ一泊したらいったいいくら掛かるんだ?

 

「よし! さっさと行こうぜ!!」


「お前着替えるの早いなぁ……」


 英司は井の一番に着替えを終えて海に行く気満々だった。

 てかなんでお前の水着ブーメランなんだよ……。


「そういう前橋は早く用意しろよ、俺も九条ももういけるぞ」


「お前もかよ」


 俺にそう話す八代もブーメランパンツだった。

 え? 何? 流行ってるの?

 まさか九条も!!


「ん? なんだ前橋?」


 良かった、九条は普通の水着のようだ。

 まぁ、ブーメランパンツも普通っちゃ普通だけど……。

 というか、俺はこいつらに言わねばならんことがある。


「俺は海いかねーぞ」


「はぁぁぁ!?」


「え? マジ!?」


「なんでだよ前橋?」


「いや、旅行の幹事したんだから良いだろ? 俺はこのホテルで優雅に引きこもってるから、お前ら遊んで来いよ」


 そう言って俺はバックから携帯ゲームを取り出す。


「ホテルまで来てゲームかよ……」


「行こーぜー! 前橋も一緒にスイカ割ろうぜぇ~!」


「悪いな八代、俺はお前らとは違うやり方でこの旅行を楽しむよ」


 確かとなりの施設にはゲームセンターもあったし、後で言って見よう。

 まったく、誰がすき好んで炎天下の中海になんて行くかよ!

 俺はエアコンの聞いた部屋で優雅にドリンクを飲みながらゲーム三昧さ。


「わーったよ! たく協調性のないやつだなぁ~」


「ちぇ~つまんねー。夜の肝試しは付き合えよ!」


「枕投げもな」


「へいへい」


 そう言って三人は俺を残して部屋を出て行った。

 さて、これで心置きなくゲームに集中出来る。

 それに俺が海なんかに言ったら色々大変だろうが……。

 海にはホテルに泊ってる客以外にもたくさんの人がいるし、絶対に声を掛けられるし……。

 まぁ、おまえば昔からあんまり良い思いで無いんだよなぁ~海って。

 小さい頃に父さんと母さんと来たときは父さんが年下若い子に逆ナンされてて、母さんはチャラい男にナンパされてて、二人して俺を使ってナンパを撃退してたっけなぁ。


「さて、やりますか!」


 俺は昔の事を思い出したあと、ゲームの電源をつけた。

 しかし、それとほぼ同時に部屋の鍵が開き誰かが入って来た。

 九条か八代か?

 それとも英司だろうか?

 忘れ物でもしたのか?

 なんて事を考えながら入口に目を移すと、そこには水着姿の井宮と高城が立っていた。


「あ、ほんとにゲームしてる」


「井宮、それに高城……なんだよ、そんな露出の多い恰好で」


「え、えへへ……どうかな?」


「似合ってるぞ高城、てかお前本当にどうやってその体系になったの?」


「あ、あんまりじろじろ見ないで……」


 高城の水着は水色のビキニだった。

 鮮やかな青が白い肌に良くあっている。

 水着に合わせてか長い髪をサイドテールにしているのも新鮮で良い。



「あぁ、悪い」


 いかんいかん、小学生の頃の体系と違い過ぎてガン見してしまった。


「ちょっと、私はどうなのよ?」


「え? あぁ井宮も良いんじゃね? なんかゲームの水着キャラって感じ」


「なんで私だけそんな例えなのよ!」


「安心しろ! ガチャでその姿のお前がピックアップされたら、3000円まで課金してやる」


「それは褒めてんの? 貶してんの?」



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