第236話 海行くぞ02


 俺達はバスに乗って最上の家が運営するリゾートホテルに向かう。

 事前に貰ったパンフレットによると、ホテルと隣接する施設には映画館やショッピング施設、おまけにボーリング場やカラオケ、ゲームセンターなどのアミューズメント施設も充実している。

 更に眼の前にはビーチが広がり、一日中ホテルの周辺で遊べるような作りになっているらしい。

 隣接しているアミューズメント施設が先にオープンしており、ホテルは来月からオープンらしい。


「へぇー夏意外にも楽しめるようになってるんだな」


「だから、秋のオープンなんだな」


「でもラッキーね、そんなホテルに宿泊出来るなんて」


「そうだね、これも最上君のおかげだね」


 四人でバスに揺られながら目的地に向かう。

 スマホには常にクラスの奴からのメッセージが来ていていい加減にうるさい。


「うわっ! グループチャット凄い盛り上がってるよ……あ、美佳達もう着いたって」


「あ、本当だ! 凄く綺麗な部屋だね!」


「てか前橋、アンタ宛てにグループ内でめっちゃメッセージ送られてるけど?」


「答えてられるか面倒臭い」


 そもそもこのグループチャットだって半ば強引に入れられたんだ。

 俺は通知がうるさいから入らないといったのに、池内の野郎……。


「あ、九条くんからよ、部屋分けはどうする? って来てるわ」


「池内に任せろって送っといてくれ」


「お前メッセージも部屋分けも人任せかよ……」


「良いんだよ、あいつクラス委員だし」


「あ、今度は八代君よ」


 今度は八代かよ……。

 なんで皆俺にメッセージを送って来るんだよ。


「野球馬鹿は一体何の用だよ」


「えっと……双眼鏡持ってるかって聞いてるけど?」


「はぁ? 双眼鏡?」


 なんで双眼鏡?

 持ってくるわけないだろう海に?

 てか、何でそんな物が必要なんだ?


「なるほど……八代め分かってるじゃないか」


 そう応えたのは英司だった


「井宮さん、八代には俺から返事を送っておくよ」


「え? でも前橋に送られて来てるけど?」


「大丈夫さ、問題ないよ」


「そうなの?」


 英司は全て理解したようだが、俺も井宮も一ミリも状況が分からない。

 一体なんだったんだ?

 と、そんな事を考えてる間にバスは目的地に到着した。

 

「おぉ! 着いたなぁ!」


「青い海!」


「白い砂浜!」


「クソうぜぇ太陽……」


 はしゃぐ三人の横で俺はそう言いながらしゃがみ込む。

 

「アンタねぇ、少しは楽しみなさいよ……」


「無理、海とか何が楽しいのかわかんねぇー。塩味のデカい水溜まりじゃねぇか」


「圭司君なんかいつも以上に卑屈だね……」


「まぁ、元々こいつはインドアだからな」


「ほら、そんなところでしゃがんでないで行くわよ!」


「へいへい」


 俺たちは海を見た後にリゾートホテルにやって来た。

 

「お、来たな」


「おせーぞ前橋!」


「前橋君、君たちで最後だよ」


 ホテルのロビーに入ると九条、八代、そして池内が待っていた。

 

「時間通りだろ? 他の奴らは?」


「皆部屋に着替えに行ったよ、早速海に行くつもりみたいで」


「そうか。それで俺らの部屋は?」


「八階だよ、井宮さん達女子は七階ね」


「うん、ありがと」


「それじゃあ、私達も部屋にいこっか!」


 井宮と高城は池内から部屋のカードキーを貰いそのままエレベーターで部屋に向かっていった。


「それで、部屋割りはどうなってんだ?」


「あぁ、5人一組の部屋で僕以外のこの四人と最上が同室だよ」


「よろしくな!」


「マジかよ……」


 よりによってこの三人プラス最上か……絶対にうるさくなりそうだな、体育会系二人と馬鹿二人のノリで……。

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