第235話 海行くぞ01



「あっつ……」


「いやぁ~いい天気だなぁ!!」


「元気だなお前は……」


 夏休みも中盤、俺は英司と一緒にバス停でバスを待っていた。

 行き先は最上の親父さんが建設したというリゾートホテルだ。

 全員でバスに乗って行くのは流石に迷惑だろうと、現地集合になり俺は英司と井宮、そして高城と四人でバスに乗ってそのリゾートホテルまで向かう事になった。


「お前さぁー、なんか最近いろいろ頑張ってるな」


「まぁな……なんか高校入ってからおかしいんだよ」


「そうか? 別に俺は今までのお前がおかしいだけで今は普通だと思ってるぜ」


「どこが普通だよ、クラス全員で海に行って、しかも同じ学年に都合よくリゾートホテル経営してる親父がいる学校って……やっぱり濃いわ……あの学校の生徒のキャラ」


「まぁ、お前もその濃いキャラの一人なんだがな」


「やめろ一緒にするな」


「一緒だっつの」


「てか、二人遅くねぇか?」


「そう焦るなよ、バスの時間まで後10分ある。それに女の子は準備にいろいろ時間が掛かるんだよ」


「何をそんなに時間かけてるんだか……」


「お前なぁ……少しは乙女心ってもんを考えろ、愛想付かされてもしらねーぞ?」


「誰に愛想つかれんだよ、まったく……てかさぁ、お前に一月聞きたいことあんだけど?」


「なんだよ? お、待て通知が来た」


「いや、大してことじゃねーんだけどよ」


「あぁ……」


「俺ってイケメンなのか?」


「ぶっ!! い、いきなり何を言い出すんだよ馬鹿!」


「え? あぁすまん」


 俺の質問に英司は何故か驚きでベンチから転げ落ち、驚いたような目でこちらを見ていた。


「ど、どうしたんだ急に? 頭でも打ったか?」


「いや、最近いろいろあってな……」


 正直言うと自分の顔立ちが良いなんて前から自覚はあった。

 しかし、俺は正直それが嫌だった。

 そのせいで昔嫌な目にあったからだ。

 だから自分から不細工だ言って自分を騙そうとした。

 まぁ、回りはきっと俺の言葉を信じなかっただろうが、洗脳方法で毎日言っていれば俺を不細工だと思うのでは?

 なんて思うようになっていた。

 やっぱり中学の頃みたいにダサい感じにすれば良かったかな?


「なんだよ、やっと自覚したのか? この拗らせイケメン野郎」


「なんて言うかな……二人の女性から告白なんてされたら嫌でも気が付くというか……」


「かぁー! 羨ましいやつ! てか、お前告白自体は中学の後半からされてただろ! 下駄箱に手紙入ってたし」


「正直あれはマジで果たし状か不幸の手紙だと思ってた」


「どこの世界にハートマークのシールの付いた果たし状やウサギの柄した不幸の手紙があんだよ!」


「いや、時代は変わったのかなって」


「時代は変わっても様式は変わらねぇよ……」


 俺がそんな話をしていると呆れながらも英司は笑いながらこういった。


「たく、ようやく自覚しやがったかよ、ムカつく野郎だぜ」


「悪い悪い」


「よぉーし! そうと決まればお前を使って彼女を作る! とりあえず合コンをセッティングしよう! 圭司、お前は座ってるだけで良いから餌として来い」


「早速利用しようとしてんな」


「当たり前だろ! 何のためにお前と友達だと思ってんだ!」


「その言葉で俺はお前と友達をやめたくなったわ」


 あーやっぱりこいつ最悪だわ。

 そのうち何か達の悪いいたずらを仕掛けてやろう。

 そんな話をしていると、ようやく井宮と高城がやって来た。


「お待たせー」


「ごめんね、待たせちゃって」


「あぁ、別に良いよ、まだバスも来てねぇし」


「おぉ! 学園の二大美少女の私服姿!! いやぁ~眼福眼福!」


「何拝んでんだよ」


「あ、あはは……ありがとう」


「まさか拝まれるなんてね……」


 見ろ、二人とも引いてるだろうが。



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