第217話 ついに限界が……

「圭司君はやっぱりゲームが好きなんだね」


「まぁ、そうですね。ゲームの世界でなら俺になんにでもなれますから」


「ふーん、私あんまりゲームってやらないんだよねぇ」


 ゲームショップに到着し、俺はお目当ての新作ゲームを見ながら川宮さんとそんな話しをしていた。

 まぁ、川宮さんはいろいろ忙しいだろうしゲームをする暇なんてないだろう。


「私もやってみようかな?」


「時間ないんじゃないですか?」


「いや、圭司君が好きな物を私も知りたいなって」


 そう言いながら川宮さんはゲームを見ていた。

 なんでそこまで俺のことを……。

 俺のために俺の好きな物まで無理して知らなくてもいいのに。

 なんてことを思っている俺だが、ゲームの話しが川宮さんとも出来ると思うと少し楽しいかもしれないと思っているのも事実で……。


「これなんか人気ですよ、みんな知ってる作品だし」


「あ、これ知ってる。あれでしょ? ボールを使ってモンスターを捕まえるやつ」


「そうっす、ゲーマー廃人から一般人まで愛される人気タイトルですよ」


「可愛いキャラも多いねぇ……今度やってみようかしら」


「やるなら攻略方法教えますよ?」


「ほんと!? じゃぁ今日買う!」


「なんでですか、そんな急に買わなくても」


「だって圭司君と話せる機会が増えるんでしょ? それなら買っちゃうかなぁ~」


「……そうですか」


 どんな理由だよ。

 好きだからって理由でここまでするものなのか?

 考えてみれば俺は誰かを好きになったことがない。

 だから川宮さんの気持ちがわからない。

 昔本で読んだことがある。

 恋は盲目だとその本には書いてあったっけな。


「あ、意外と安いんだねゲーム機って。2万円くらいで買えるんだ~、私てっきり8万円くらいするのかと思っちゃった」


「それは品薄のゲーム機を転売ヤーから高額で買うから異常に高くなるんですよ」


「ふーん、これとこれ買えばいいの?」


「そうですね……あ、マイクロSDも買っておいた方が良いですよ? アップデートとか結構容量食うので」


「ごめん、全然わからない、なんて?」


 まさかここまで知識に差があるとは……いつもは井宮とばっかりこういう話しをするからな、わからない人は本当にわからないんだな。

 ゲームショップでも川宮さんはかなりの額を使っていた。

 ゲームソフトにゲーム機、それと周辺機器をちらほらと。

 なんだか俺の買い物がついでみたいになってしまった。


「なんかゲーム機買うのって子供の頃以来でワクワクするかも!」


「あぁ、その気持ちわかります。早く帰って開けたくなりますよね?」


「うんうん! なんか子供の頃に戻った気分だなぁ~」


「じゃぁ、帰りますか?」


「嫌よ、だってそしたら圭司君とのデートが終わっちゃうもの」


「……そうですか」


 俺はもう結構眠気が限界なのだが……ヤバイなぁどこかで仮眠をとりたい。

 ここはいっそ家に呼んで買ったゲームのやり方でも教えながら、隣で寝落ちするか?

 いや、そしたら姉貴が帰って来た時何を言われるかわからない!!


「圭司君、もしかして眠たい?」


「え? あ、あぁ……まぁ」


「やっぱり、もうふらふらだよ。あんまり無理はしないでよ」


「いや……家に押しかけたのは……貴方でしょ……」


「私はちゃんと仮眠取って良いっていったもん。ここならうちが近いから、うちで少し寝なさい」


「え、嫌です」


「なんでそこだけハッキリ言うのよ」


「何をされるかわからないので……」


 前に家に行ったときは抱き着かれたし、唇も奪われそうだったからな……。


「しないわよ! ……多分!」


「多分って言いました? なんか余計不安なんですけど……」


 しかし、眠気が限界なのも事実。

 俺は仕方なく川宮さんの家に向かうことにした。


 

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