第207話 仲直りとその後
「ま、自分で言うのもなんだけど……結構そう言う経験は多い方だと思うわ」
「だろうな、それで何人の男を今まで切り捨ててきたんだ?」
「もう少し言い方考えてくれない?」
「じゃぁ、何人を捨てたんだ?」
「酷くなってるわよ……まぁでも言えるのは……結構しんどいわよ、精神的にね」
「………そうか」
なんとなくそれは分かる。
俺もあんなに楽しそうにしている高ノ宮にお前と付き合えないなんて言ったらどんな顔をする事か……。
まぁでも、ちゃんと言わないとこのままずるずる行っちまうしな。
話しをしているうちにファミレスに到着した。
「まぁ、色々あったがとりあえずはお前が赤点取るのを阻止しないとな」
「そうね……赤点回避して私もイベントに行く!」
「その意気だ! 俺一人じゃ怖くてイベント参加なんて無理だからな!」
「アンタって本当に色々残念よね……」
何はともあれこれで井宮とはないつも通りに戻った。
後は高ノ宮の事と海の件だな。
池内には宿の候補を何個から送ったが返信はまだない。
あいつの言った通り、目標があると人は頑張れるようで海旅行と聞いた瞬間、クラスの奴は勉強を頑張っていた。
「やぁ親友!」
「おう、最上。悪いけど今日も頼むわ」
「他ならない親友と井宮さんの頼みだ、もちろん協力するよ」
俺達が到着して数分後、最上がファミレスにやって来た。
正直、振られた後だからもう来ないと言い出すかと思ったが、最上はいつものテンションでファミレスに現れた。
「なぁ、大丈夫か? お前ら二人とも色々気まずいんじゃ……」
「昨日まで気まずい雰囲気だった君には言われたくないね」
「うっ……た、確かにそうだが……」
俺は仲直りすればそれで終わりだが、最上は井宮に振られて日が浅いから気を使ったんだが……。
「なに、心配などいらないさ! 最近気分が良いんだ、好きな人には振られてしまったが、なんでかスッキリしているんだ!」
「なんだよお前、ドMなの?」
「断じて違う!」
「井宮は良いのかよ?」
「良いわよ別に、それに案外悪い奴じゃないってのも知ってるから」
「そ、そうか? お前ら何があったんだ?」
何故か振られたはずの最上は清々しい顔付きで機嫌が良く、井宮もこの前までは最上に苦手意識を持っていたのに、今ではそれが一切感じられない。
一体この二人に何があったのだろうか?
「それよりも親友、君のクラスメイトから聞いたんだけど、夏休みはみんなで海に行くそうだね」
「まぁな、赤点補習者は居残りだけど」
「君とクラス委員の池内君が幹事だと聞いたが、良かったら僕も一緒に連れて行ってくれないか?」
「え、あぁ良いんじゃね? どうせクラスの奴だけなんて決まりはねぇーし、お前は俺のクラスでも有名人だし」
「ありがとう、何か手伝えることが会ったら言ってくれ! 最近僕は機嫌も調子も良いからね!」
「そうか、なら幹事変わって」
「それは無理だ」
「なんでだよ!」
クソっ!
こいつに幹事変わって貰おうと思ったのに!!
「んじゃぁ、良いバイトでもあったら教えてくれ、短期のやつで」
「ふむアルバイトか……」
「アンタ、お金無いの?」
「夏休みに遊ぶ金を稼いでおきたいんだよ」
俺と最上の会話に井宮が入って来る。
夏休みは泊りで海だし、それに加えてイベントに行くための金も必要だ。
いくら賞金を貰ったと言っても足りるわけがない。
「アルバイトか……僕も経験が無いからこれを気に一緒にやってみようかな?」
「マジか、正直一人だと心細くてよ。知り合いと一緒なら気持ちも楽だわ」
「じゃぁ、テストが終ったら考えよう。夏なら短期バイトも多いだろうからね」
「英司も誘ってやるか、あいつもどうせ金無いだろ」
俺と最上がそんな話しをしていると、最後に高城がやって来た。
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