第203話 なんで俺が幹事なんて……



「クラス全員となるとかなりの大所帯になるな」


「そうだな、移動手段が問題になるな」


 結局俺はクラス全員で行く海水浴の幹事なってしまった。

 そうしないとあの男子共に埋められそうな気がしたしな。

 俺は池内と参加者の確認、そして移動方法、宿泊施設の候補探しなどを開始した。


「面倒だな……」


「いやぁ、正直助かるよ。一人じゃ大変でね」


「だからって俺に言うなよ」


「いやいや、クラスをまとめられるのは前橋以外にはいないからね」


「まとめられてねぇだろ、男子にリンチされかけたんだが?」


「人気者は嫉妬されるもんだろ? あんまり気にするな」


「別に人気ではないと思うが」


 昼休み、池内と相談をしながら計画を立てて居ると話を聞いた九条と八代、そして英司が弁当を持ってやってきた。


「海か! 良いなぁ! 野球部は忙しいけど確か盆の辺りは休みがあるからその辺にしてもらえると助かるな!」


「そこらならどこの部も休みだからみんな予定が合いやすいんじゃないか?」


「女子の水着姿が見れるなんて、神イベだな! 俺絶対行くわ!」


 幹事が俺達だと思って、こいつら好き勝手言いやがって。


「その前にお前らもテストで赤点は取るなよ、夏休み遊べなくなるぞ」


「分かってるって! 監督からも言われてるから、しっかり九条と勉強してるよ」


「八代、お前はただ俺のノートを暗記してるだけだろ……」


「いやぁ~最高の夏になりそうだな! 圭司、何かあったら言えよ? 今回は協力してやる」


「出来れば毎回協力してくれない?」


「あ、それなら三人には日程が決まったらクラスの参加者リストを作って貰おうかな」


「おぉ、任せとけ!」


「お前らも大変だろうからな」


「えぇ~面倒くさい」


「おい、英司。早速さっきと真逆の事を言ってるが?」


「冗談だよ、エクセル使ってパパっと作っちまうよ」


「ありがとう、じゃぁ早く日程を決めよう」


「そうだな」


 話し合いの結果、海の行く日は8月20日に決まった。

 そこなら部活が休みが多いという理由と、旅費がない場合でも夏休み前半にバイトをして稼げるからという理由だ。


「まさかこんな事になるとはな……」


 スマホで良さげな海水浴場を探しながら俺は授業が始まるのを待っていた。

 正直海なんて今はどうでも良い。

 なんとか井宮の機嫌を元に戻して、一緒にイベントに来てもらわないと!

 いや、一人でイベントとか行く俺まだ不安だし……。

 てか幹事なんてしてる場合じゃないだろ!?

 何で井宮が怒ってるのかを探るべきだろ!


「何やってんだろ俺……」


 ため息を吐きながら俺はどうやって井宮の機嫌を直すかを考える。

 

「高ノ宮と別れて済む話しでもないだろうしなぁ……はぁ……」


「どうしたの? ため息なんて吐いて……」


「ん? あぁ、高城か……ちょっとな」


 俺がため息を吐いて考えごとをしていると、高城が話し掛けてきた。

 そうだ、高城に井宮の様子を聞いてみよう!

 最近あの二人仲良いからな、何かヒントを得られるかもしれない。


「なぁ、高城。井宮の様子ってどうだ?」


「え? 井宮さん? あぁ……えっと……前橋君にはなんか怒ってたかな」


「やっぱりか」


「あ、あのさ……その……井宮さんが朝言ってたけど……ま、前橋君彼女出来たの?」


「え? あぁいや……ま、まぁ……一応な」


 バレちまったし高城にも高ノ宮の事を話しておくか?

 その方が勘違いもされなくて良いか。

 

「実はこの前あった高ノ宮のことなんだがな……」


 俺は高城に高ノ宮と俺の関係を話した。


「そうだったんだ、お試しで……」


「あぁ、正直この関係が良くないのもわかってはいるけど、昔あいつに酷い事しちまってな」


「そっか……そのことはちゃんと井宮さんに説明したの?」


「そう言えば……説明はしたけど、ちゃんとはしてないかも……」



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