拗らせイケメンと四人の美少女

第199話 実際包丁持ってる女性って怖いよね？

「け～い～ちゃ～ん」

「ひっ！」

　なんだこの人を呪い殺しそうな声は！！

　まぁ、何となく誰の声かはわかるけど……。

「あ、姉貴。何覗いてんだよ？」

「別に……ただなんか、彼女だのなんだのと物騒な言葉が聞こえてきたけど？　何の話？　お姉ちゃんに言って見なさい？」

「色々言いたいことはあるけど、なんで包丁持ってるの？」

「料理の途中だったのよ」

「置いて来てくれよ、怖い」

「それはそうと、なんで圭ちゃんの部屋にメスが居るの？」

「何ですかメスって！　酷くないですか！」

「うるさいわよ黙ってなさい、それとそこは私の特等席よ！」

「俺のベッドだよ」

　姉貴帰ってきたのか。

　そう言えば姉貴にはまだ高ノ宮との関係を話してなかったっけ……。

　まぁでも、言っても良いことなんてなさそうだし、むしろ面倒臭そうだから言わないでおこう。

　いやまて、高ノ宮の奴姉貴と張り合って余計な事を言いそうな気がするぞ。

　ここはさっさと姉貴を部屋かた追い出して、高ノ宮に俺達の関係の事を注意しておかないと。

　これ以上ややこしい事になるのは避けたい。

「分かったから、姉貴は下に居てくれ、こいつもそろそろ帰るから」

「部屋に二人っきりなんていけません！」

「別に何かするわけじゃないから」

「何って何？　ナニをするの！　答えなさい！」

「あぁ、もう包丁コッチに向けないでくれよ、頼むから」

「そうですよ、邪魔しないで下さい！　今は私と圭司君の二人きりの時間なんですから！」

「はぁ？　何を言ってるの？　そんな時間あるわけないでしょ？　それに昔から言ってるでしょ、弟は姉の物なのよ」

「そんな事はありません」

　全然帰る気配が無い。

　昔からこの二人は揉め始めると長いんだよなぁ……。

　高ノ宮は俺の右腕にしがみつき姉貴を睨む。

　姉貴は包丁を片手に俺の左腕にしがみついた。

　包丁は怖いので置いて欲しい。

「まったく、付き合ってもこの人が姉じゃ大変ですよ」

「何を言ってるの？　圭ちゃんは誰とも付き合わないのよ。お姉ちゃんと結婚するの」

「しません」

　そろそろ姉貴のブラコンも良い加減にしてほしい。

　折角容姿が良いのだから、誰かと付き合えば良いのに……。

　そうすれば俺に構って来なくなるち思うんだけど。

「残念ながら圭司君は今私の彼氏なんです！　彼氏彼女の間にお姉さんが入る隙なんてないんですから！」

「え？」

「あ」

　こいつ、やっぱり恐れていた事を言いやがった！

　絶対面倒な事になる気がする……。

「付き合ってるの？」

「はい」

「貴方と圭ちゃんが？」

「はい！」

「いつから？」

「昨日からです」

「あぁ、そうなの……」

　姉貴はそう言いながら、包丁を机に置き俺の部屋の窓の近くまで行って、窓を開ける。

「あ、姉貴？」

　一体何をするんだろう？

　そんな事を思っていると姉貴は窓のサッシに足を掛け始めた。

　俺は慌てて駆け寄り姉貴を止めた。

「何してるんだよ姉貴！」

「夢よこれは夢、だから夢から覚めないと」

「うわ、めんどくせぇ……別な意味でめんどくせぇことになったよ！　高ノ宮お前も手伝え！　お前のせいで姉貴が変になっちまっただろうが！」

「どんだけ付き合ってるのがショックだったんですか！！」

「話して！　悪い夢から早く目を覚まさないと！　そして圭ちゃんの童貞を奪わないと！」

「やめろ！　姉弟で一線を越えるのはマジでヤバイから！！」

　暴れる姉貴を俺と高ノ宮でなんとか抑え、部屋の中に戻した。

「なんで……なんで圭ちゃんに彼女なんて……」

「あぁ、でも姉貴。これ一週間限定で……」

「え？　どういう事？」

　俺は姉貴に昨日の高ノ宮との事を話した。

「なるほど、要するにこの子の我がままね」

「何か悪いですか？」

「別に、ただ諦めが悪いなとは思うけど」

「それはどうでしょうね？　圭司君本当に私と正式にお付き合いするかもしれませんよ？」

「大丈夫よ、そんなの私が許さないわ。あの手この手で邪魔してあげる」

　姉貴大人気ねぇな……。