第187話 過去編って切り時が分からない
「へぇーあっそ」
「興味無いの丸出しな、お前」
「まぁ、興味無いしな」
「くそっ! なんでお前みたいな奴が高ノ宮さんと……」
「だから、言ってるだろ? 別に俺とこいつはそういうのじゃねぇって、こんな陰キャのブサイクみたいな俺をこいつが好きになるわけねぇだろ?」
「む、確かに……」
「なんでそこで納得するんだよ、自分で言ったけどなんかムカつくな」
笹原は俺がそう言うと何か納得した様子で落ち着いていた。
複雑な気もするがまぁ落ち着いたから良しとしよう。
「それじゃぁ、後はお若いお二人でごゆっくり」
「いやいや! 先輩待ってくださいよ! 私一人じゃ心細いです!」
「離せ、断るなら断る、受け入れるな受け入れろ」
「そんなのお断り一択に決まってますけど、なんて言って断ったら良いかわからないんです」
「そうか、良かったな。考える必要が無くなったぞ」
そう言って笹原の方を指差すと、笹原は既に真っ白になっていた。
なんだか抜け殻みたいだ。
ま、こんなはっきり拒絶されたら当たり前か。
にしても、なんだか少し可哀想だな……。
「あ……ご、ごめんなさい」
「え! な、何が? ぜ、全然! 気にし……てない……から!」
うわぁ、もうなんだか泣きそうだよ。
大丈夫かなあいつ……。
てか、何この空気。
メチャクチャ気まずいんだけど。
とりあえず笹原と高ノ宮は引き剥がした方が良いよな?
「あぁー、笹原だっけ? 行くぞ、お前もここに居るのは辛いだろ?」
「な、なんだよ……同情なんて……」
「そんなんじゃねぇよ馬鹿」
俺はそう言いながら笹原を連れてその場を後にしようとする。
「あ、先輩私も!」
「馬鹿! お前に悪気はなかったとしてもこいつは今、お前のせいで傷ついてんだよ。悪いけど、お前は来るな」
そう言って俺は笹原を連れて歩き始めた。
「うっ! くそぉ! 振られた!」
「あぁ、どんまい」
「いけると思ったんだ! それなのに!! なのに!」
悔しいのか笹原は涙を流しながら悔しさを口に出していた。
学校から歩いて数分のところにある橋の下は、滅多に人が来ない。
男泣きには丁度良い場所だろう。
「女なんて星の数ほど居るだろ?」
「そうだけど! 本気で好きだったんだ!!」
最初は嫌な奴かと思ったけど、そうでもなさそうだな。
好きな子のためにここまで涙を流せるんだ。
口調が悪いだけなのかもしれないな。
「本気で好きだったんだ……顔が!!」
前言撤回。
やっぱりこいつはただの馬鹿だ。
俺の心配とか全部返せこのやろう!
「はぁ〜それなら、なおさら他の女子を探せよ」
「あの子が好みの顔だったんだ!」
「馬鹿らしい、その顔面で良くそんな上玉を狙おうとするな」
「んだと!」
「あのなぁ、俺らブサイクには身の丈にあった相手ってのがいるんだよ。変に高望みすんな」
「ま、まぁそうだけど……夢くらい見たっていいだろ!」
「夢なんて叶わないのが当たり前なんだよ……わかったら泣くなよ、みっともないぜ」
「くそぉ……こんなサイコパス野郎に言われるなんて……」
誰がサイコパスだよ。
てか、なんで俺は今日初めて話した奴を慰めてんだ?
帰ってゲームしたいのに……。
「お前、意外と良い奴なんだな……てっきり顔面殴ってくるかと思ったけど」
「どんな認識してんだよ……ま、仕方ねーか」
「でも、お前の言うとおりだな……確かに俺に高ノ宮さんは高嶺の花だったよ」
「わかったら、さっさとお前はあの馬鹿を忘れろ」
あいつ、帰ったかな?
まぁ、あいつも告白なんて慣れない真似されたから戸惑ったのかもしれないけど。
流石にあのやり方は駄目だろ?
こいつだって、勇気を出して告白して来た訳だし。
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