第181話 親友?

「何のようだよ最上」


「つれないなぁ〜。僕らは文化祭をへてライバルであり親友になったじゃないか!」


「いつ俺がお前を親友だと認めたよ?」


「僕は君を認めている!」


「じゃぁ、お前の片思いだろうが」


 こいつは相変わらずだな。

 でも、こいつもクラスでは信用されてるっぽいし、確か頭の良かった気がする。

 まぁ、あの母親だし勉強だって出来るだろうが……。


「性格に難があるんだよなぁ」


「今何か言ったかい?」


 でも、実際どれくらいの実力なんだ?

 結構な成績なら最上でも問題はないんだが……。


「お前、全回の成績はどうだったんだ?」


「前回?」


「あぁ、学年順位だよ、20番台くらいか?」


「一番だよ」


「そうか……は?」


「だから一番だって」


 こいつって俺より頭良いの?

 なんかショックだな、こいつよりは勉強出来ると勝手に思ってたけど、まさかこいつが学年トップだなんて。

 そういえば、前に張り出されてた成績順位表にも最上の名前があったような……。

 しかし、性格に難ありでも学年トップが一緒なら井宮の成績もなんとかるかもしれない。

 というわけで。


「英司の代わりを連れてきた」


「よろしく頼むよ」


「ま、まじ……」


 井宮は最上を見て苦い顔をしていた。

 まぁ、それもそうだろう。

 なんせ、最上にとって井宮は……。


「井宮さん! これを機に是非連絡先の交換を!」


「なんでそうなるのよ……」


 好きな人なのだから。

 宿泊学習のときにこいつはそれを暴露していた。

 だから、最上はあまり井宮と合わせな方が良いと思っていたのだが、学年一位の頭を今借りない訳にはいかない。

 もちろん俺は井宮に呼ばれた。


「ちょっと! なんでよりによってあいつなのよ!」


「いや、あいつ学年一位だし」


「そうかもしれないけど、他にも誰か居たでしょ!?」


「池内と迷ったんだが、学年一位って話を聞いたらこいつの方が良いと思ってな」


「だからって……」


 まぁ、好きだと大ぴらに宣言してるし、気まずいのはわかるが今は成績をなんとかするのが第一だ。


「今日だけだから、な?」


「あ、あんたは良いの?」


「は? 何が?」


「何でもないわよ!!」


「いっで!!」


 最上を連れて来たからってそんなに怒る必要ないだろ。

 毎回足を踏みやがって。

 というか、今回は井宮の問題なんだから、わがまま言うなよ。


「圭司くん」


「おう、高城かお前も大変だな、井宮に付き合わされて」


「そ、そんなことないよ、私もそろそろ勉強始めようと思ってたし」


「そうなのか、高城は頭良さそうだし、勉強の必要なんてないんじゃないか?」


「そんなことないよ、私も勉強しないと赤点取っちゃうから」


「そうか? 毎回真面目に授業受けてるじゃないか」


「そ、そんなことないよ……み、見てたの?」


「まぁ視界に入っちまってな。あ、別にジロジロ見てたわけじゃないから」


「う、うん……」


 なぜ頬を赤く染める?

 俺たちはファミレスに入り、四人で勉強を始めた。

 それぞれ勉強をしながら、井宮に勉強を教える形だ。

 井宮の隣には高城が座り、俺は最上と並んで座った。


「最上、ここどうやって解くんだ?」


「そこかい? そこはここに代入して……」


「なるほど、サンキュー」


 最上を連れて来たのは正解だった。

 なんだかんだ言っても最上は教えるのが上手く、まるで教師のようだった。


「お前、教えるのうまいな」


「そうかい? 自分ではわからないけど」


「もったいねーなー、性格さえまともなら完璧なのに」


「一体何の話だい? 親友」


「そういう所だよ」

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