第176話 拗らせイケメンと四人の美少女

「二人でご飯? やっぱり仲良い……あれ? えっと……こんにちわ」


 近づいて来た高城は高ノ宮を見て途惑いながら笑顔で挨拶をした。

 

「こんにちわ、貴方も先輩の学校でのお友達!ですか?」


 今度は友達を強調したぞ。

 別に俺と高城はそんな関係じゃないから安心しろよ!

 なんで俺のクラスメイト全員に喧嘩腰なんだよ!

 

「た、高城も飯か? 奇遇だな」


「うん、今日はお父さんとお母さんがお昼居なくて、一人で食べに来たんだ」


「そ、そうなのか、じゃぁここ座れよ」


 こんな事を言われたらそう言うしか無いだろ!

 明らかに俺の隣空いてるし!

 それに休日のお昼で席も埋まってきてるし!


「あ、ありがとう圭司君」


「え?」


 高城の言葉に高ノ宮が反応した。

 あれ?

 なんか反応するとこあったか?

 高城はただお礼を言っただけだが……。


「名前呼びなんですね」


「あぁ、まぁな。実は高城とは小学校の時の幼馴染でな」


「ふーん、そうですか……」


 なんでそんなに俺の事を見るんだよ。

 やめろ馬鹿!

 俺はあんまり凝視されると死んじゃうんだよ!

 まぁ、嘘だけど!

 なんで高ノ宮はこんなに不機嫌になってんだよ。

 まぁ、まだ俺を好きなのだとしたら、二人きりの所を邪魔されて怒る気持ちも分かるが、こいつらはただの友達だしなぁ……。


「高ノ宮さん綺麗な金髪だね、瞳も真っ赤でお人形さん見たい」


「え? そ、そうですか? えへへ……」


 こいつちょろいな。

 褒められただけで簡単に喜んでんぞ。

 

「わ、私ハーフなので」


「え! そうなんだ! だから肌も真っ白で綺麗なんだね、良いなぁ~」


「そ、そんな事ないですよぉ~、高城先輩も綺麗ですよぉ~」


 おぉ、高城すげーな、あの高ノ宮を簡単に手なずけたぞ。

 なんだ、結構良い感じに場が和んできたぞ。

 まぁ、目の前の井宮はなんか不機嫌だけど……。


「なぁ、なんでそんな不機嫌なんだよ!」


 俺はこっそりと井宮に尋ねた。

 すると井宮は不機嫌そうに俺に言ってきた。


「随分可愛い後輩ね」


「なんだよ、別に良いだろ? なんで不機嫌なんだよ?」


「別に……」


「なんだよ、全く。変な奴だな」


「ふん!」


「あだっ!!」


 俺は井宮に足を踏まれてしまった。

 これは相当怒っているらしい。

 なんだ?

 もしかして英司が何か不味いことでもしたのか?

 なんて事を俺が考えていると、もう一つの嵐が俺の元に近づいていた。


「あら? もしかしてうちの事務所の金ずるじゃない!」


「え? って岡島さん! てか金ずるってなんすか!!」


 新しいお客さんが隣の席にやって来たと思ったら、俺が所属する芸能事務所のマネージャーである岡島さんだった。

 いつもの仕事着では無く、今日は私服でなんだか新鮮だ。

 知り合いと食事だろうか?

 なんて事を考えていると、変装メイクでばっちり決めた川宮さんが俺を凝視していた。

 なんでこんな時にこの人まで来るんだよ!

 しかも隣の席に!!


「あら、圭司君奇遇ね」


「……ど、どうも」


 ヤバイ!

 絶対怒ってる!

 まぁ、分かるよ!

 この人も俺に告白してきた変わり者だし!

 それにすげーどす黒いオーラ出てるし!

 今スマホ見たらなんかスッゲー量のメッセ―ジが川宮さんから来てるし!


「え? 圭司先輩、まさかこの人たちとも知り合いなんですか? 随分女性の知り合いがふえましたねぇ~」


「そ、そんな事ないぞ……」


 ヤバイ!

 和み掛けていた場の雰囲気が一気に崩れ去った!

 そして高ノ宮と川宮さんが笑顔で挨拶を始めたぞ!

 だからなんでお前らは笑顔なのにそんなどす黒いオーラを出せるんだよ!

 

「ねぇ、圭司君。そう言えば今度はいつ私の部屋に来るの? また二人でご飯でも食べましょう」


「へぇ~先輩この人とそんな関係なんですか」


「え、えっと……圭司君?」


「モテモテで良かったわね」


 なんだこの地獄、早く帰りたい……。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る