第175話 嵐の予感
*
このファミレスも常連になってしまった。
しかしなぜだろうか、このファミレスに来ると俺はいつも注目を浴びている気がする。
「へぇ~高校で二人は仲良いんですね」
「そうなのよぉ~、前橋とは気が合うのよぉ~」
「……」
俺はインテリアショップを後にし、昼食を食べるためにファミレスに来ていた。
俺は英司と震えながら並んで座り、目の前にはニコニコしながらどす黒いオーラを放ち、井宮と高ノ宮が話をしていた。
「何で俺を巻き込んだ! お前の修羅場に俺を巻き込むな!」
「仕方ねぇだろ! 勝手にあいつらが修羅場ってるんだよ! 親友なら助けろ!」
「ふざけるな! 俺にあの二人をなんとか出来ると思ってんのか! さっき死ねってストレートに言われてるんだぞ!」
目の前の事態を一人で処理するのは不可能と考えた俺は、英司を無理矢理ファミレスに連れてきた。
というか、なんでこの二人の仲はこんな悪いんだ?
そして英司はなんで二人から死ねって言われたんだ?
謎が多いな……。
「それで前橋、この子と買い物なんてアンタ珍しいわね、いつもは家に引きこもってゲームするか、私と! ゲームしてるのに」
なんで私を強調した?
まぁ、良いけど。
うーんを下着を見てしまったからなんて言えないし……。
なんてことを考えていると高ノ宮が代わりに答えた。
「何を言ってるんですか? 先輩と私は昔かなり仲良かったんですよぉ~一緒に買い物くらい毎日! でもしますよぉ~!」
今度は毎日を強調したぞ。
高ノ宮、悪いが毎日は俺も付き合わないぞ?
非常に重たい空気の中、料理が運ばれてきた。
店員もテーブルの雰囲気に気が付き、気まずそうに料理を置いて去って行った。
「なぁ、前橋。俺これ食ったら帰るからな、ここにいたらあまりの空気の重さに吐く」
「まて、帰るなら俺も一緒にしてくれ、俺一人でこの二人を何とかするのは無理だ」
「馬鹿野郎、お前がまいた種だろうが! 責任とってどっちかをさっさと選べ」
「一体何を言ってんだよ!」
俺と英司が食事をしながらこそこそ話をしていると、二人がこちらを向いた。
「前橋、あんたモテないとか言ったけど、結構モテるのね、これで何人目?」
「い、いや何を言ってんだよ、俺は見ての通りのブ男だモテる訳がない」
「先輩相変わらず卑屈ですねぇ~、そんな先輩が私は大好きですよ。あ、でも先輩がモテる件に関してはあとで詳しく教えてくださいね」
二人とも笑顔なのにすごく怖い。
一体俺が何をしたというんだ!
「ま、まぁ二人ともそんなギスギスしないで」
お、英司が動いた!
流石は俺の友人だ、きっと俺を助けるために何か……。
「じゃぁ、俺は帰るかた金はここに置いておくね」
野郎逃げやがった!
しまった、座るときに俺が通路側に座っていれば!
英司は金を置いてそのまま去って行った。
残された俺は井宮と高ノ宮に凝視される。
「ねぇ前橋、今度アンタの家に連れて行きなさいよ、私の部屋に来たのに不公平よ」
「いや、でもうちには姉貴が……」
「じゃぁ、先輩。うちに来ればいいじゃないですか! 隣だし、お姉さんから逃げることも出来ますよ!」
「お前の部屋、まだ何もねぇだろ」
なんでこいつらは張り合うように話を進めるんだ?
正直俺はもう限界だぞ。
早く家に帰ってゲームしたい。
その後にアニメ見たい!
なんてことを考えながら注文した若鳥のチキンを口に入れる。
そんな中、俺は気が付かなかった。
新しいトラブルが二件、近づいていることに……。
「あ、やっぱり、圭司君と井宮さんだ」
「え? あ、高城」
声を書けてきたのは高城だった。
なんだ高城かと、俺は内心ほっとしたがよくよく考えたら安心できない。
ここには高ノ宮が居る。
高ノ宮は今でも俺が好きで近づく女をあまり良く思わない。
そして高城は俺の初恋の相手。
うん、詰んだ。
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