第171話 あのカーテンは伏線だったのか



 朝は清々しい、休日の朝とはなんとも気持ちが良いものだ。


「あ、くそ! はぁ、結局徹夜でゲームしちまった」


 カーテンで日の光を隠し、パソコンの画面に向かう。

 そして夜からぶっ通しで倒したモンスター達の戦績を確認し、フレンドに「落ちます」とメッセージを打ち「乙」と返事を貰ってログアウト。

 そして部屋の一番大きな窓のカーテンを開け、日の光を浴びて眠りに付くのが俺の日課なのだが……。


「え?」


「え?」


 隣には先日立った真新しい新居があり、俺が窓を開けると向こうの家の窓と向かい合う形になる。

 そして、まだ昨日越してきたばかりのその部屋にカーテンは無く中が丸見えであり、そこには黄色の下着を身に着け、着替え途中の高ノ宮がいた。

 俺は直ぐにカーテンを閉じて現実逃避をする。


「ちょっ! 先輩今見ましたよね! 私の下着見ましたよね!」


 知らない知らない!

 面倒臭い!

 俺は今から寝るんだ!

 あの馬鹿の相手をしてられるか!

 まぁ、多少ラッキーだとは思ったが……って違う!

 ヤバイなぁ……これは来るな。

 絶対に来るな。

 でも眠いしどうするか……。

 とか考えてる間に家のインターホンが鳴った。


「あら、誰かと思えばただの後輩ちゃんじゃない」


「どうも昨日はごちそう様でしたお姉さん!」


 あぁ、ヤバイ。

 なんかあって早々お互いに権勢してるよ。

 とりあえず俺は爆睡中ってことにしよ。


「えぇ!? 圭ちゃんが覗き!」


「はい、私下着を見られちゃった仲なので……」


 なんか下で飛んでもない事を言われてるような気がするが仕方ない。

 気にしちゃだめだ俺。

 ここで出ってたら、また面倒な事になる。

 まぁ、そうは言っても恐らく……。


ドンドン!


 やっぱり……。


「圭ちゃん! 覗き趣味があったって本当なの!」


 あぁ、やっぱりなんか盛大な勘違いをしてるなぁ……。 

 これは鍵をこじ開けて乗り込んでくるのも時間の問題だな。

 俺は仕方なくベッドから起き上がり、ドアを開ける。

 ドアごと鍵をぶっ壊されても困るしな。


「なんだよ……」


 ドアの開けると、そこには姉貴と高ノ宮がいた。

 朝から騒がしいなこの二人は……。


「圭ちゃん! どういう事! なんで、なんでお姉ちゃんの着替えを覗かないの!」


 元々俺に覗きの趣味はないんだが……。


「ふふ~、知与さん見たいな年増よりもやっぱり私見たいな若々しい子の方が先輩も良いんですよぉ~」


 なんでこいつは覗かれたのに機嫌が良いんだよ。

 てか早くカーテンを買え!

 

「あのさ、悪かったとは思うけどお前も少し気をつけろよ……」


「えぇ~だって、先輩意外には見られないわけですしぃ~」


「あのなぁ……」


 こいつには羞恥心はないのか?

 騒がしい朝を迎え、俺は結局眠ることが出来ないまま朝食を済ませ顔を洗って着替えをした。

 そして、下着を覗いた罰として高ノ宮の買い物に付き合うことになってしまった。

 

「はぁ、今日は折角の休みなのに……」


「良いじゃないですか~、引っ越してきたばっかりで色々買わなきゃなんですから~」


「それは分かるが……」


 ま、覗いたのは本当だし、仕方ないか。

 賞金のあまりもあるし、今日は少し買い物しようと考えてたから丁度いい。

 ちなみに姉貴は今日仕事があるらしく、あのあと事務所のマネージャーに連行されて行った。

 最後まで今日は休むと言っていたが、マネージャーさんと愉快な仲間達(黒服の女性二人)の手によって連行された。


「んで、お前は何を買うんだ?」


「えっと、家具とかみたいですね。それと布団とかですかね、お母さんからお金も預かってるので」


「じゃぁ、まずはインテリアショップにでも行くか」


 バスと電車で数十分、俺達は大型のインテリアショップにやって来た。

 休日という事もあり家族連ればかりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る