第166話 俺は頑張り過ぎている

「だからよ、あいつが一組の喧嘩売って来たって聞いた日はクラスから大ブーイングだったぜ」


「絶対勝てるわけねぇって思ってたもんな」


「そうだったのか?」


「辺り前だろ? お前が居るんだぞ?」


 いや、なんで俺が居ると勝てないんだ?

 

「でも、あいつマジで勝っちまった! まぁミスコンは負けたけど、次は絶対最上が勝つからな!」


「いや、なんでお前が……」


「当たり前だ! 俺はあいつを応援してんだ! 次は負けねぇぞ!」


 そう言って最上のクラスメイトは戻って行った。


「なんだったんだ……」


「最上君、クラスでは人気あるんだね」


「あぁ……」


 なんだよあいつ……別に俺じゃなくても説教してくれそうな奴が居るんじゃねーか。


「ふっ……次は負けないねぇ……」


 コッチだって負ける気はねぇよ。

 なんでか俺は飲み物をとって戻る時、なんとなく最上の入っていった部屋を覗いてしまった。

 そこには楽しそうに歌う最上の姿があった。

 そんなあいつの姿を見て、なんでか俺は安心してしまった。


「圭司君、強敵だけど大丈夫?」


「ん? あぁ、そうだな……」


 高城は笑いながら俺にそう言ってきた。

 正直次はダメかもしれない、そう思ってしまったけど、それはそれでなんだか俺は良い気がしてしまった。

 だから俺は高城にこういった。


「負けるわけねぇだろ」


「ふふ、じゃぁ戻ろっか」


「おう」


 ライバルねぇ……なんで俺なんかライバル視するのかわからねぇけど。

 悪い奴じゃねぇし、それに面白い奴だとは思えるようになったな。





「いやぁ~歌った歌った!」


「なぁ、これから皆で二次会行こうぜ!」


「良いな! ボーリングなんてどうよ!!」


「あ、それ私も行きたい!」


「じゃぁ、ボーリング行く人ー!!」


 カラオケが終わり、金も払い終えクラスの奴らは二次会の話をしていた。

 男子は女子と仲良くなれて大満足みたいだし、俺の役目も終わりだな。

 さて、俺は帰るとするか……。


「おい、池内」


「ん? どうしたんだ前橋? お前も行くだろ? ボーリング」


「いや、俺はパスだ。これ、売り上げの一部先生から預かってきた、カラオケ代で少し減ってるけど、みんなでボーリング行く金くらいあんだろ? お前に預けるわ」


「え? 前橋が来ないと始まらないだろ? 用事でもあるのか?」


「まぁな、大事な用事があるんだ」


 ゲームのイベント周回という。

 

「そうか……お前が来ないのは寂しいぜ」


「悪いな。ま、野郎に寂しがられても気持ち悪いけど」


「うるせぇよ! じゃぁ気を付けてな」


「おう」


 さて、帰ろう!

 さぁ、ここからが俺の休みスタートだ!

 変えて部屋に籠ってゲーム三昧だ!

 時間は昼を過ぎてしまったが十分楽しめる!

 そんな事を考えながら俺はウキウキしながら家に帰った。

 

「はぁ……文化祭とか打ち上げとか最近俺頑張り過ぎだよなぁ~」


 なんで俺がこんなに頑張らないといけないんだか。

 そんな事を考えながら家に帰ると隣の家に引っ越しのトラックが止まっていた。

 隣は新築の工事をしていて、最近ようやく完成したようだが、とうとうお隣さんが引っ越してくるようだ。

 しかし、結構良い家だな。

 それにしてもどんな人が引っ越してくるんだろうか?

 ま、騒音を出すような人じゃな無ければ誰でも良いか……。

 そんな事を考えながら部屋に戻りカーテンを開けると、丁度窓の外から隣の家の二階が丸見えになっていた。

 まだ引っ越してきたばかりでカーテンもないようだ。

 今日は念の為にこっちのカーテンは締めていた方が良いかもしれないな、あっちも見られて良い気はしないだろうし、逆に俺も見られるのは嫌だからな。

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