第165話 あいつも意外とうまくやってる
「お前らなんで隣に来る?」
「だから言ったでしょ? 座る所無いのよ」
「そ、そんな感じ」
「だからって俺の隣を陣取らなくても……」
「べ、別に陣取ってる訳じゃないわよ!」
「だ、ダメだった?」
「いやダメって事はないが……」
少し神影が心配な気もするんだが……。
「神影、お前歌上手いな!」
「ふっ! まさか俺と並び立つ者が居るとはな!」
「なんで笹原がラスボスみたいな事言ってんだよ」
あぁ、なんか心配なさそうだな。
もう打ち解け始めてる。
このままこの会を楽しんでくれると良いがな。
さて、俺はミッションも完遂したし、あとはカラオケがお開きになったタイミングで家に帰るだけだな。
早く帰ってゲームしよ。
「でもアンタ、良くクラス全員集めたわね」
「まぁ、男子は簡単だったしな。女子はお前が声をかけてくれたからな」
「あとはうちのクラスのノリの良さだよね」
「確かにな、ここまでノリの良いクラスも早々ねぇだろうな」
誘ったら全員が参加するなんて、意外とうちのクラスは団結力があるのかもしれない。
まぁ、一部の男子は女子絡みになるとすごいパワーを発揮するし、女子も団結したらかなり強い。
宿泊学習から思っていたが、こんなクラス珍しいクラス早々無いだろう。
「ちょっと飲み物取ってくるわ」
「あ、じゃぁ私のもよろしく~」
「はぁ? 自分で行けよな」
「あ、じゃぁ前橋君私が一緒に行くよ」
「え? あぁ悪いな高城」
井宮の奴め、俺の事を使いやがって。
全く、少しゲームのレベルが俺より高いからって……。
なんて事を考えていると、カラオケ店のドリンクバーコーナーに何やら見慣れたイケメンが……。
「おやおや! 奇遇じゃないか我がライバルにして親友!」
「いつお前と親友になったんだよ……」
そこに居たのは私服姿の最上だった。
右手にコップを持っているという事はこいつも遊びに来てるのか。
「まさかこんなところで会えるとは……文化祭のあと片付けありがとう!」
「え? あぁまぁ……約束だし……」
なんだそっちか……てっきりまた勝負だ!
とか言い出すのかと思った。
「という訳で勝負だ!」
「何でだよ!」
「カラオケ対決なんてどうだ? どちらが高得点を出せるか競おうではないか!」
「悪いがパスだ、今日はクラスの連中と来てるから直ぐに戻る」
本当は音痴だから嫌なんだけどね。
「何? お前もか?」
「え? 最上も? 友達居たんだな……」
「失敬だな!」
そんな話をしていると、またしてもドリンクバーに人がやって来る。
「最上! いつまでやってんだよ!」
「次お前の番だって!」
「何!? 前橋すまない! 勝負はお預けだ!!」
そう言って最上は自分の部屋に戻って行った。
「あ、前橋と高城さんじゃん!」
「あ、本当だ! うちの学校のミスとミスターじゃん! お前らもカラオケ?」
「誰だお前?」
「お、おいおい、まぁ初対面だけどその言い方はねぇだろ」
「しっかし、すごいな前橋。お前の案なんだろ? 俺らに売り上げ僅差まで迫らせたのって」
「あぁ、学際の時のか……まぁ、結構ズルい方法だけどな」
ミスコン優勝者と言うブランドを使ってるからな。
結構卑怯な方法だったかもしれないと思ってる。
「でも、俺らのクラスの最上もすげーんだぜ」
「え?」
「いや、なんてかよ……うちのクラスってまとまりが無かったんだ、個人個人意見持ってるっていうか、ワンマンな奴らが多くてよ」
「文化祭の出し物もすごいのがやりたい! ってふわふわしたコンセプトだけ決めて何も決まんなかっただけど、最上が全部まとめちまった」
「あいつが……」
意外だった。
あいつはあんな性格だからクラスでも浮いていると聞いて居たが、結構人望もあるらしい。
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