第162話 王様だーれだ

 てか、こいつら何をしてんの?

 折角俺が機会を作ってやったっていうのに。

 てか、折角勇気をだして来た神影が引いてんだろうが!


「おい、お前らこんなとこでまで何してんだよ……」


「あ、前橋! 聞いてくれ、九条の奴が俺たちを!」


「俺たち何もしてないのに!」


「ただ洲巻にして山に放置しただけなのに!」


「安心しろ、お前たちが絶対悪いから」


 さて、完全に男女が別れてしまっている。

 これでは完全にいつものクラスの光景だな。

 全く、この馬鹿共は学という事を知らないのか……てか、男共の服装気合入り過ぎてだせぇ……。

 どうしよう、正直この男子共はどうなっても別に関係ないけど。

 まぁ、しかし神影は俺が誘った訳だしこのままトラウマを植え付けられたままでは、今後の生活に支障をきたすかもしれない。

 非常に不本意だが、ここは……。


「池内、なんとかしてくれ」


「え? 僕? 幹事は君だろ!」


「俺にはこの状況を打開する策が思いつかない、頼む」


「丸投げ!?」


「お前クラス委員だろ?」


「都合良すぎないかい!?」


「じゃぁ、頼んだ」


「ちょ、ちょっと!!」


 よし、これで池内がなんとかしてくれるだろう。

 まぁ、あいつならなんとかするだろう。

 俺は神影のサポートに当たろう。

 というか……こんな事をいうのもなんだが、女子は目の前で血みどろの争いが繰り広げられてるのに、なんで平然と歌を歌ってられるんだ?

 そんな事を考えながら、自分のコップと神影のコップを確保し、とりあえず飲み物でも取って来ようと神影に提案し一旦部屋の外に出た。


「ま、まぁあれだ……全員で学校以外に集まるなんて初めてだから皆緊張してんだよ」


「緊張しても血みどろの喧嘩にはならないと思うけど……」


「まぁ、同級生と血みどろの喧嘩なんて普通の高校では起きないと思う」


「でも、それはいつも学校で見てるし」


「それはいつも見ちゃダメだろ」


 話をしながらドリンクバーで飲み物を注ぎ、部屋に戻っていく。

 少しは落ち着いただろうか?

 そんな期待をしながら俺達は部屋に戻る。


「はい!」


「「「「「「王様だーれだ!!」」」」」」


 何故か知らないが、男子だけで王様ゲームが始まっていた。

 いや、なんでさっきまで喧嘩してたのにいきなり王様ゲームが始まってんだよ。

 池内は一体何をした?

 俺はそんな事を考えながら池内の方を見る。

 なぜか池内は頑張った!見たいな顔で親指を突き出してきた。

 いや、確かに喧嘩は収まったけども……。


「おい、英司」


「ん? どうした圭司? あ、お前の分の棒用意して無かったな」


「いや、別に参加したいとかじゃないんだが……なんで王様ゲームしてるんだ?」


「あぁ、争っていても仕方無いってことでな、とりあえず皆でやれるゲームを考えたんだ。そこで八代が王様ゲームを提案してな」


「それが盛り上がるのは女子を交えた場合じゃないのか? なんで女子は女子で盛り上がってる?」


「誘ったんだが、断られた」


「だからって男子だけでするなよ……気持ち悪い」


「そりゃあ俺たちだって女子としたかったさ! でも如何せんうちのクラスの奴らは欲望を隠すのが下手で……」


「要するにド変態の集まりってことな」


 そりゃあ女子は危険を感じるわけだ。

 てか、なんで男子だけの王様ゲームでここまで盛り上がってんだよ。

 ま、まぁ喧嘩をされるよりは良いが……お前ら一体何を楽しみに打ち上げに来たんだよ。

 

「圭司と神影もするだろ? 次から混ざれよ」


 ん?

 だが、これはチャンスかもしれないぞ。

 神影が皆と打ち解けるのにこのゲームは都合がいいかも知れない。

 

「わかった、じゃあ次から俺と神影も参加する」


「う、うん」


 まぁ分かるよ。

 そんな心配そうな顔しなくても、俺だってそんな乗り気じゃないよ?

 でも、皆と打ち解けられるかもしれないし……。

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