第158話 終わりと打ち上げちと



 文化祭の後、学校では文化祭の片づけが行われていた。

 

「はぁ……面倒くせぇ」


「仕方ねぇだろ、負けは負けだ」


「まぁ、そうだけどよ」


 俺たちは午前中の内に自分達の教室の片づけを済ませ、今は三組の出し物の片付けをする。

 振替で月曜日と火曜日が休みだとしても休日に学校で掃除をするのは大変だ。

 英司と俺はそんな文句を言いながらも早く帰りたいので、もくもくと作業をする。


「まさか負けるとはなぁ~」


「やっぱり三組のあの最上って変な奴だけどすごいよな」


「これで前橋とは一勝一敗か……次の勝負に期待だな」


 出来ればもう面倒な勝負なんてしたくねぇよ。

 クラスメイトがそんな話をしているのを聞いて俺はそんな事を思う。

 まぁ、でも負けたままっていうのもなんだか気持ち悪いな。

 今度はもっと公平に勝負をしたいものだ。


「そう言えば前橋、打ち上げの件はどうなってるんだ?」


「あぁ、来たい奴を募って明日カラオケでって考えてる」


「おぉ、お前にしては結構まともな打ち上げを考えてるな」


「どういう意味だよ」


「いや、なんかビデオ通話でオンライン打ち上げとか言い出すかと思った」


「俺をなんだと思ってるんだよ……それにクラスメイト全員に連絡先聞いて、ビデオ通話のやり方を教える方がだるいだろ」


「あ、そう言う事ね。それで女子は参加するのか?」


「ま、それはこれから聞いて見る感じだな。まぁ打ち上げって言えばくるだろ?」


「しかも提案者がお前だからな。さて、何を着て行こうかなぁ~」


 ウキウキしながら英司は片付けをしていた。

 よほど打ち上げが楽しみらしい。

 しかし、そろそろ女子達に打ち上げの事を話さないとダメだな。

 カラオケの予約もあるし。

 俺はそう思い、女子の中心人物でもある井宮の元に向かう。


「井宮」


「ん? どうしたの? あ、そう言えば昨日御馳走様」


 昨日は学校の帰りに井宮と高城の二人と一緒にファミレスに飯を食いにいった。

 そして普通に奢らされた。

 マジで理不尽……。


「遠慮なく食いやがって……」


「まぁまぁ、臨時収入あったんだから良いでしょ? それよりどうかした?」


「あぁ、実は明日クラスメイト全員で文化祭の打ち上げでもしたいと思ってるんだが、お前から女子に参加したい奴が居るか聞いて貰えないか?」


「え? アンタが主催なの? 意外ね……」


「まぁ、色々あってな」


「別に聞くのは良いけど、場所は? あと会費は?」


「場所はカラオケ店、打ち上げの費用は文化祭の売り上げの半分がクラスに来るから、それでなんとかなる」


「色々調べたのね」


「まぁな」


 面倒ではあったが命が無くなるよりはマシだと思い、俺は先生に文化祭の売り上げの使い道について聞いたり、カラオケ店の一番広い部屋で何人が入れるかなどを調べていた。

 山に埋められるよりはマシだからな……。


「ま、そう言う事なら聞いておいてあげるわ、昨日奢って貰ったし」


「悪いな、それじゃあ俺は男子の参加者確認するから、分かったら連絡くれ」


「了解」


 俺は井宮に話を終えた後、男子達が集まっている所にむかった。


「おい、お前ら明日の打ち上げに参加出来ない奴はいるか?」


「居る訳ねぇだろ!」


「全員参加さ!」


「流石だぜ前橋、俺は最初からお前を信じていた!」


「今度お姉さんを紹介してくれ!」


 思った通り全員参加のようだ。

 てか、すごい浮かれっぷりだな……。

 あとは女子の連絡を待つだけだな。

 にしても……。


「お、俺打ち上げで山下に声かけてみようかな」


「じゃ、じゃぁ俺は山岡に!」


「キモイとか言われないかな?」


「でも行動しないと何も変わらないぞ! 忘れたのか? 俺たちは……」


「「「「絶対彼女を作る!!」」」」


「そうだ! 折角前橋様が機会を与えて下さったのだ、このチャンスをものにするぞ!」


 なんかすっごい手のひら返しだな。

 この前は洲巻にして山に埋めようとしてたくせに……。

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