第156話 文化祭編45

「ふっふっふ! 観念してもらおうか圭司……」


「待て! 話せばわかる!」


「わからないねぇ! モテる奴の気持ちなんてわかるわけねぇだろ!!」


「そうだ!」


「俺達とお前は違うんだ!」


「俺だってお前たちと一緒だ! モテない!」


 まぁ、モテたいとも思っていないが……。

 

「んなわけねぇだろ顔面清潔やろう!!」


「テメェは俺達とは違うんだよ! 図に乗るな!」


「い、いや……そんなことは……」


 俺がそう言った瞬間、クラスの男子生徒たちはワーワーと騒ぎ始めた。

 いや、俺も実際モテないんだが……まぁ、井宮とかと仲良いからこいつらにはそう見えるのか?


「まぁそういきり立つなよ」


「笹原隊長」


「しかし!」


「お前らの怒りは最もだ、しかし慌てるな………今から全員でこいつを埋めに行くんだぞ」


 そういって英司はにやりと笑い、俺の方を見た。

 あの野郎、友達のことを助ける気すらねぇ……。

 クソ、どうやってこの場から抜け出す?

 女子は既に教室にはいない、ホームルームが終わった後、男子から追い出されたのだ。

 唯一の常識人だと思った九条もどっかで簀巻きになってるし……一体どうしたら?

 

「お、お前ら! そんなことしてるから女子から引かれるんだぞ! 少しは学習しろ! 足を引っ張るだけじゃ誰にも彼女なんて出来ねぇぞ!」


「何を世迷言を……」


「たとえ誰かに彼女が出来ても他の奴には何の得もない!」


「てか、女子と一緒に遊べるだけでもお前はうらやましいんじゃボケ!!」


 女子と一緒に遊べるって、そんなに良いことか?

 ん?

 要するにこいつらはクラスの女子と仲良く遊びたいってことか?

 それなら……。


「な、なぁ……」


「なんだ? 遺書なら書かせてやるから心配するな」


「いや、ちげーよ! お前ら女子と遊びたい……ってか、仲良くなりたいのか?」


「ん? ま、まぁそうだが……」


 英司にそう言うと他のクラスメイトもざわつき始めた。


「うちのクラスの女子ってなんていうか、強いから誘いずらいんだよなぁ……」


「あぁ、わかる。あのごみを見る目……ゾクゾクする」


「いや、お前のそれは趣味」


 思った通りだ、こいつらはきっと女子と仲良くしたいのだが、その機会がないのだ。

 だから他の男子が女子と仲良くしているところを見て嫉妬してるんだ。

 そうとわかれば、この状況をなんとか出来るかもしれない。


「じゃ、じゃぁお前ら、もし俺を見逃してくれたら、女子と仲良くなれるかもしれないぞ!」


「なんだと?」


「どういうことだ?」


「えぇい! 惑わされるな!」


「命欲しさの戯言だ!」


 俺の発言にみんなが口々にそう言う。

 まぁ、そう思うだろう。

 しかし、文化祭といえばセットであのイベントがある!

 ゲームやアニメでも定番だし、この提案をすればみんな納得するはずだ!


「圭司、一体何をしようとしているんだ?」


 俺は英司の問いに笑みを笑いながら答える。


「お前ら……文化祭の打ち上げを俺が企画すると言ったらどうする?」


「「「「「う、打ち上げだと!!」」」」


 クラスの何人かが俺の思わくに気が付いたらしい。

 英司も俺の考えがわかったらしく、驚いていた。

 いや、別に言ってることは普通のことなんだけどね。


「しかもクラスの女子も一緒にだ!」


「「「「「「な、なんだってぇぇぇぇぇぇ!!」」」」」」


 俺のとどめの一言で理解できてなかったクラスの男子も俺の提案の有用性を理解したらしい。

 

「そ、それってつまり! 学校以外で女子と……」


「あぁ、遊べるぞ。打ち上げだからな」


「か、カラオケとかボーリングとかも?」


「あぁ、打ち上げだからな」


「あ、あわよくば仲良くも?」


「それはお前ら次第だがな」


「「「「「うぉぉぉぉぉ!!」」」」」


 やっぱりこいつら馬鹿だ。

 その後、俺はクラスの男子に胴上げされたのちに開放された。

 しかし、こうなると打ち上げの幹事は必然的に俺だ。

 はぁ……また、面倒なことを引き受けちまった気がする……。

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