第151話 文化祭編40
それから井宮と高城も入り、本格的に俺の店は込み始めた。
流石のミスコン効果だ、男性客が噂を聞きつけて次々やって来る。
しかし……。
「あ、あの前橋君! もう一枚追加しても良いですか?」
「あぁ、金払ってくれるんなら何枚でも良いぞ」
「キャー! じゃぁ10枚追加で!!」
何故か俺との写真撮影の列もすごいんだが……。
なんで?
物好きが多いなぁ……。
「圭ちゃ~ん!!」
「げっ……」
そんな事を考えながら接客をしていると、聞きなれた嫌な声が聞こえて来てしまった。
「お姉ちゃん来ちゃった!」
「あ、姉貴……」
接客に夢中で全く気が付かなかったが、いつの間にか俺との写真撮影の列に姉貴が並んでいた。
しかも並んでいたのは姉貴だけではなく……。
「あ、圭司くん久しぶり~」
「相変わらず綺麗な顔ね」
「秋保さんに悠さんまで……」
突然やって来た姉貴達にクラスの男たちや男性客は目が釘付けになる。
しかも目が釘付けになっているのは男だけじゃない、恐らく雑誌とかで姉を知っているのであろうクラスの女子までこちらを見ていた。
「だ、誰なんだあの超絶美人は!!」
「前橋の知り合いらしいぞ!!」
「マジかよ! なんであいつだけ可愛い女子が集まってくるんだよ!」
「イケメンだからじゃね?」
「あと普通に良い奴だしな」
「でもムカつくだろ? だから皆で後で埋めにいこうぜ」
「「「「異議ナーシ!」」」」
ヤバイ、男子の殺気が強くなった。
こいつら文化祭が終ったらマジで俺を埋める気だぞ……。
てか、お前ら働け!
「え!? あの人ってカリスマ女子高生の前橋知与さんよね!!」
「前橋君とどういう関係なのかしら?」
「ん? 前橋?」
「「「「姉弟!?」」」」
しかも女子はあっさり俺と姉貴の関係を見抜きやがったし!
そんな事がバレたら男性陣がもっと面倒な事に……。
「初めましてお姉さん、僕は前橋君の親友、石岡(いしおか)!」
「何を言っているんだ? 親友は僕佐野(さの)だよ!」
「ははは! お前ら何を言ってるんだ? なぁ親友、俺が本物の親友だよな?」
「お前らどこから出て来た……」
恐らく女子の話を聞いたのであろう男子達が殺気とは打って変わって、俺の親友を名乗り始めた。
人を埋めようとする奴と親友になったつもりはないのだが……。
「圭ちゃん大人気ねぇ~お姉ちゃん嫉妬しちゃうわぁ~」
「良いから写真撮って帰って下さい……貴方たちは居るだけで注目を集めるんですから」
「まぁ、確かにね。知与は有名だし」
「圭司君も大変だね、お姉ちゃんがこんなのだと」
「全くですよ」
「ちょっとそれどういう意味よ!」
「なんでも良いですけど、三人で一枚で良いですか? 後ろも並んでるんで」
「あぁ、良いわよ」
「え!? 何を言ってるのよ! お姉ちゃんとのツーショットを100枚分よ! お金ならあるわ!!」
「はいはい、圭司君の邪魔しちゃだめでしょー」
「圭司君、私がこの子押さえてるから今のうちに」
「ありがとうございます悠さん。それじゃぁ行きますよ……はい、チーズ」
「いやぁぁぁー! 悠離してぇ~」
「はいはーい、圭司君の邪魔しちゃだめでしょ?」
そのまま姉貴は悠さんに押さえられ、その隙に四人で写真を撮った。
「じゃぁ、圭司君頑張ってね。忙しそうだからあたしらはもう行くから」
「頑張ってねぇ~」
「いやぁぁぁ~!! 圭君ともっと一緒にいるぅ~!!」
「アンタ毎日一緒に居るでしょうが……」
「はいはい、駄々こねないで行くわよ~」
嵐のような三人の美女達はこうして去って行った。
はぁ……これだから呼びたく無かったんだ……。
恐らく文化祭が終った後クラスメイトからの質問攻めに合うんだろう。
マジで嫌だなぁ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます