第147話 文化祭編36

『おやおや? なぜか前橋さん浮かない顔をしていますねぇ~どうしたんでしょう?』


『きっと緊張しているんですねぇ、あまりこういった場に慣れている感じがありませんから』


『なるほど! しかし顔は抜群にいいですね!』


『えぇ、死ねばいいのに……』


『あぁっと! 教頭ここで教師として言ってはいけない言葉が出ました!』


 早く帰りたい……。

 早く点数出してくれないだろうか?

 あのイケメンたちがあんな点数なんだし、採点基準もよくわからないし、そんなに点数も変わらないだろう。

 早く点数を出して俺をこの場から解放してくれ!

 出ないと、そろそろごみを投げ込んでくる奴が現れるぞ!!

 俺がそんなことを考えていると、今度は川宮さんがコメントを始める。


『どうですか宮河さん! 最近注目のうちの一年生なんですが』


『そうですねぇ……』


 川宮さんは微笑みながら俺の方を見るとニコッと笑って話し始めた。


『正直言うと顔もスタイルも申し分ないのでぜひ嫁に来てほしいですね』


『そこは婿じゃないでしょうか? なんてツッコミはさておき、これはかなりの好感触だぁぁぁぁ!!』


 な、なんとなく嫌な予感はしてたけど、この人公衆の面前で飛んでもないことを言いやがったぁぁぁぁぁ!!

 なんださっきのイケメンたちとの評価の差は!

 こんなの絶対男子から反感買うぞ、俺が!

 事務所の先輩としてのひいき目とかいらねーんだよ!

 なんでこの人は毎回俺を振り回すんだ!!


『おやおや、人気アイドルも結局は顔ですか』


『ビジュアルは業界では重要な評価基準ですよ教頭先生』


『いやぁ~私は嫌いな業界ですね。ますます彼が嫌いになりそうです』


 笑顔で何とんでもないことを言ってんだよ教頭。

 てか、あの人俺のこと嫌いなの?

 それともイケメンが嫌いなの?

 まぁ、どうでもいいか……さぁ早く点数出せ!


『それでは採点に行きましょう!! 点数の方をお二人ともお願いします!!』


 司会の先輩がそういうと教頭と川宮さんが同時にプラカードを出す。


『おぉっと! 教頭先生-10点!!』


 マイナスってなんだよ!!

 そんなに俺の顔が悪いってことか!

 

『まさかのマイナス表記!! 教頭先生これはどういうことでしょう?』


『そうですね……ただの嫉妬です』


『あぁっと! 正直! もういっそ清々しい! 我々は審査員の選定を間違えたのかもしれません!!』


 さすがはこの学校の教頭。

 ぶっ飛んでるなぁ……。


『さて、一方の宮河さんは……こ、これは!!』


 放送部の先輩がそう言ったのと同時に俺も川宮さんのプラカードを見る。

 そこには『あんたが優勝嫁に来て! 10000点』と書かれていた。


『まさかの高得点!! っていうかお二人とも、10段階評価ってわかってます?』


『もう男子は彼が優勝でいいんじゃないでしょうかね?』


『身も蓋もない! 今までの男子と全く反応が違います! これは彼とのプライベートな関係を疑ってしまいますねぇ~』


 あの人はマジで何をやってんの!!

 馬鹿なの!?

 またスキャンダル起こしたいの!?

 もう無理だよ、揉み消せないよ!!

 あぁ、なんか心なしか男子からの視線が痛い……もう帰っていいよな?

 てか、今すぐこの場から逃げたい!!


『あ、教頭! プラカードにゼロを付け足すのはやめてください!!』


『ははは、宮河さんがそうくるなら、私もこうしますよ』


『見苦しいですよ教頭先生』


『大人を舐めないでくださいよ、宮河さん』


 なんか審査員同士でバチバチやってんだけど……。

 さて、もう退場してもいいだろうし。

 そろそろ退場するか、今ならみんな審査員同士のバトルに夢中だし。

 てか、もうこれ俺の優勝はないだろ?

 ちゃんと採点できないんだし……。

 俺は隙をみて壇上から去った。

 この後は最上だけど、ちゃんと採点できるんだろうな?


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