第146話 文化祭編35
なんか知らんが、川宮さんが俺をガン見してる。
やめてくれ、なんか言われたらいろいろ面倒だ!
俺は視線を川宮さんから反らした。
『あ、すいません、みなさん可愛いしカッコ良くて見とれてました~』
『それはそれは、アイドルの貴方が言っても皮肉にしかならないお言葉をありがとうございます』
『やはり、庶民は芸能人には勝てないということですねぇ』
『そうですねぇ、教頭先生』
この司会大丈夫か?
なんかさっきから毒吐いてばっかりだぞ。
そんな感じでミスコンは始まった、最初は男性陣から行うらしい。
まぁ、ミスコンって言ったら女子だしな。
俺ら男はついで見たいなとこあるし。
俺の順番は最後から二番目、それまでは舞台袖でコンテストの様子を見る。
『さぁ、張り切って行きましょう! トップバッターはなんとバスケ部エース! 爽やかイケメンの星宮和也(ほしみや かずや)君です!!』
司会の掛け声と共に三年生の先輩がバスケのユニフォーム姿で舞台に上がり、華麗なドリブルを披露する。
「「「「きゃぁぁぁぁ!!」」」」
流石はバスケ部エース、女性陣からの黄色い声援が聞こえてくる。
瘦せ型で足も長いし、運動神経も抜群と来ればポイントは高い。
「いきなり強敵だな」
会場が盛り上がる中、先輩のアピールが終わり教頭と川宮さんが得点を出す。
『さぁ、得点は!!』
教頭が三点、川宮さんが二点だった。
ちなみに十点満点である。
厳しくないか?
『おぉっと! いきなり微妙な点数だ!! 教頭、なんでこんなに点数が低いんですか?』
『いやぁ、私学生時代は全然モテなくて』
『ほうほう』
『なんかイラっとしまして』
『なるほど! イケメンへの嫉妬ですね!』
良いのか!?
あれが審査員で良いのか!
しかもあれ教頭だぞ!
『醜い男性の嫉妬でしたね。宮河さんはどうしてあの点数を?』
『うーん、確かにカッコいいんですけどそれだけですよね? もっと何か無いとつまらないっていうか……もっとこう、いきなり海パンになるとか、そう言うのが無いと芸能界では生きていけないと思います』
川宮さんは一体このミスコンに何を求めてんだ!
先輩がショックを受けてるじゃないか!
『なるほど! ただのイケメンではダメだということですね! それではドンドン行きましょう!!』
うわぁ……なんか一気に出場を取り消したくなったぞ。
なんだよあの審査員二人は!
思いっきり私情を挟むやつと、判断基準がおかしいアイドルって。
どうやったら良い点数が取れる見当も付かないんだけど?
てか、顔が良かったらそれで良いんじゃないのミスコンって?
その後も審査は続いた。
男子の評価は皆似たり寄ったりで、全員壇上を後にする頃にはなんだか元気が無くなっている。
このコンテスト、本当に大丈夫か?
そうこうしている間に俺の番が来てしまった。
「はぁ~……少し緊張するな」
俺は最後に髪のセットを確認し舞台に上がる準備をする。
衣装は普通に学生服だ。
無難なのが一番良いと思ったからだ。
『さぁ、男子は残り二人となりました! 次は噂のイケメン一年生! 前橋圭司君です!!』
よし!
せめて恥を掻かないようにしよう!
俺はそんな事を考えながら壇上に上がった。
「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」
うぉっ!
なんか一番最初の先輩ぶりに女子が声を上げたぞ!
もしかして「きゃぁぁぁぁ気持ち悪いぃぃ!!」って続くのか?
それは傷つくぞ……。
「きゃぁぁぁぁ圭ちゃんカッコいいわぁ~」
なんか別な場所からは別な叫び声が聞こえる……無視しておこう。
なんだか会場がざわついている。
俺は無言のまま壇上に上がり、マイクを手に取って名前だけ名乗る。
「どうも、前橋です」
「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
そんなに俺は気持ち悪いですか?
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