第141話 文化祭編30

「てか、占いにパソコンか……なんだか雰囲気がないな」


「現代はコンピューター社会ですからね! 相性でさえもコンピューターが診断してくれる時代なんです」


 占いって水晶で女の人が占ってくれる物かと思ってたけど。

 今の時代はパソコンに打ち込みなのか。

 なんだか味気ねぇなぁ……これで一回三百円かよ。


「というか、なんで高城は俺との相性なんて気になったんだ?」


「え!? い、いやそれは……」


「うふふ、女の子は占いが大好きだからね、気持ちは分かるわ。君はもう少し女の子の気持ちを理解してあげないと苦労するわよ」


「え?」


 先輩にそんな事を言われてしまった。

 女の気持ちと言われてもなぁ……。

 そう言うのとは正直無縁な人生だと思うし、別に気にしなくても良いのでないだろうか?

 要するにあれか?

 高城が無類の占い好きで、誰とでも良いからこの店に来たかったってことか?

 だったら他の友達とでもくれば良いと思うが……。

 あ、そっか。

 きっと仲の良い奴らは今シフトに入ってるのか、だから俺に白羽の矢が立ったのか。


「なるほど、よくわかった」


「多分だけど、前橋君分かってないと思う……」


 そんな話しをしている間にパソコンの画面が変わり、診断結果が出てきた。

 

「はい、こちらが診断結果になりまーす」


「えっと……相性度数89%」


「こ、これってすごいんですか!!」


「うん、すごいね! 前にきた三年生のカップルよりも数値が高いよ。しかも90%目前なんてあんまり見ないね」


「そ、そうなんだ……」


 結果を聞いてなんだか前橋は嬉しそうだった。

 まぁ、悪いよりは確かに良い。

 しかし、なんでこんなに数値が高いのだろうか?

 入力した生年月日や血液型が関係しているのか?

 まぁ、占いなんて言ってもコンピューターが決まった法則にしたがって決めてるんだろうし、あんまり充てにはならないか。


「よかったらプリントアウトするけど、要る? 一枚百円」


「要ります!」


「毎度あり~」


 前橋はそう言って俺との相性測定の結果を印刷してもらい、そのまま教室を出た。


「俺との相性結果なんて要るか?」


「き、記念にね……」


 そう言いながら高城は大事に測定結果を仕舞っていた。

 さて、今度はどこに行こうか……なんて事を考えながら歩いていると、文化祭の入り口前が何やら騒がしい。


「なんか、人だかりが出きてるな」


「そうだね、なんだろ? 見に言って見る?」


「あぁ、良いけど」


 俺と高城さんは人だかりの方に向かった。

 人だかりはミスコンの出場者の写真が飾られている場所に出来ていた。

 もしかしてあれか?

 俺の写真を見て「うわ、何こいつ場違いなんですけど~」とか言って、皆で笑ってるのか?

 それだったら嫌だなぁ……。

 なんて事を考えながら、人だかりの中心を見ると。


「見て見て! 秋保(あきほ)! 悠(ゆう)! 圭ちゃんの写真があるわ! 流石は私の弟ね! 記念に写真とっておきましょ!!」


「あのねぇ、知与……」


「目立ってるからやめなさいよ」


「なんでよ! カッコいいでしょ! うちの圭ちゃん!」


 姉貴だった。


「高城、今すぐこの場を離れよう」


「え? なんで?」


 一緒にいるのは姉貴の友達の友達の秋保さんと悠さんだ。

 類は友を呼ぶとは良く言ったもので、二人ともかなりの美人だ。

 面識もあるのだが、姉だけでも面倒なのにあの二人も一緒となれば、遭遇した瞬間、俺は終る。

 だから、早くこの場から離れたい。


「ほら、行こうぜ」


「え? あっ……」


 俺は高城の腕を掴み、学校の中の方に逃げた。

 

「なぁなぁ! 入口にメチャクチャ可愛い子達が集まってるってよ!」


「マジかよ!」


「モデルの前橋知与さんもいるって!」


「え! あのカリスマ女子高生!?」


 姉貴達の噂を聞き、皆入口前に向かっていく。

 みんなあの姉達の本性を知らないからそんな事を言えるんだ……。




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