第140話 文化祭編29
「っ……そ、そろそろ覚えてくれないかな? 僕は最上……最上吉秋さ!」
「あぁ、居たな」
「き、君はもう少し僕を認識してくれないか?」
「それで何の用だよ?」
「君たちに昨日の僕達のクラスの売り上げを見せて上げようと思ってね」
そう言えば勝負と言いつつ、俺こいつらの出し物の詳細も何も知らないんだった。
最上はそう言って俺に昨日のクラスの出し物の売り上げを見せてきた。
「いち…じゅう、ひゃく……16万!?」
「な、なんだって!!」
見せられた用紙には売り上げの欄に約16万円と記されていた。
「すげーな」
「ふふふ、僕達のクラスが本気を出せばこんなものさ」
「くそっ……ま、まさか僕らが負けてるなんて!」
池内やその他のクラスメイトは悔しそうな顔をしていた。
まぁ、俺らよりも売り上げが上だし、そりゃそうか……。
「このまま行けば僕らの圧勝だね」
「くっ! まさかここまでとは……」
なんで池内が「くっ!」とか言ってんだ?
そこは勝負を挑まれた俺のセリフじゃね?
「前橋君、僕は君に勝つ、ミスコンでもクラスの出し物でもね……君を超えない事には僕は完璧になれない」
「はぁ……」
「ふふ、それじゃぁ僕は忙しいから、またね」
そう言って最上は教室を後にした。
最上が居なくなった後、クラスはざわついていた。
「ま、マジかよ……」
「16万なんてやばすぎだろ」
「大丈夫なのか? 今日が一番集客が出来る日ではあるけど……」
「それは向こうも一緒だろ?」
開店前に暗くなりやがって……こんなんじゃ来るものも来ないぞ。
たく、さっきまでのバカ騒ぎはどこにいったんだか……。
「まずいぞ、前橋」
「なにがだ?」
「皆の士気が下がってる、ここは君から皆に一言頼むよ!」
「なんで俺が? 面倒くせぇ」
「……そうだね、君に頼ってばかりじゃ僕は成長しないからね」
「え? いや、別にそう言うわけじゃ……」
そう言うと、池内はクラスの奴らに向かって話し出した。
「大丈夫だ! 今日一番集客出来るってことは、今日を頑張れば逆転だって出来る!! 僕たちだって他のクラスには負けてない! みんなここが正念場だ!」
「そ、そうだまだ文化祭は終ってない!」
「ここからよね!」
「よし、俺の男の魅力で女共を魅了してやるぜ!」
「寝言は寝て言え不細工」
「お前もなブス」
下がっていた士気が池内の呼びかけで上がっていった。
流石クラス委員、みんなに慕われてるじゃん。
「前橋君、君のおかげで僕も少し変われた気がするよ」
「は?」
何言ってんだこいつ?
まぁいいや、俺のシフトは昨日とは変わって午後。
ミスコンは昼だから、それまでは高城と文化祭を回るか……。
「ま、前橋君」
「ん、高城かじゃぁ行こうか」
「う、うん……」
さて、どうするかなぁ。
昨日結構見て回っちまったし。
「あ、あのさ……私行きたいところがあるんだけど、良いかな?」
「あぁ、良いぞ」
高城の行きたい所?
一体どこだろう?
知り合いのクラスの出し物とかかな?
俺は高城に連れられ、二年生のクラスのフロアにやって来た。
「どこの店に行きたいんだ?」
「う、うん……ここなんだけど……」
「え? ここ?」
言われたクラスには大きく『相性占い』と書かれていた。
相性占い?
誰と誰のだ?
「いらっしゃいませ~どうぞこちらへ~」
クラスは二年一組、教室には四か所机と椅子が設置してあり、机の上にはノートパソコンが置かれていた。
俺と高城はその一つに座らされ、目の前には二年の女子の先輩が座った。
「はい、それでは相性占いですね! お二人の相性をこのパソコンを使って診断させて頂きます」
「へぇーそんな事出来るんだ」
「す、すごよね」
「はい! うちのパソコン部の中島君が開発しました!」
すごいな中島君……。
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