第137話 文化祭編26



『これで、文化祭一日目を終了します。生徒の皆さんは19時までに速やかに下校してください』


 文化祭一日目が終了した。

 教室に帰ってきた俺はクラスで行われていた、一日目の集計作業の結果を聞いていた。

 集計しているのは、もはや気持ち悪いの代名詞になりつつある男で俺の友人の英司だ。

 てか、一日パンツ一丁みたいな恰好で寒くないのか?


「みんな! 集計結果が出たぞ! 一日目の売り上げは総額12万円だ!!」


「「「「おぉぉ!!」」」」


 結構な額になったな、まぁ大半はコスプレ下生徒との写真撮影での売り上げだろうがな。

 こんなことなら、普通に記念写真メインの店にした方がよかったんじゃないか?

 

「これなら三組に勝てるな!」


「いや、それどころか総合優勝も狙えるんじゃね!?」


「頑張ったかいあったなぁ!」


 果たしてそううまくいくだろうか?

 俺たち一年生が一日目でこれだ、二年生や三年生だって馬鹿じゃない。

 去年もこの文化祭に参加していたいわゆる経験者だ。

 文化祭で一番集客が望めるのは二日目の一般公開日。

 その時、外部から来た人にどれだけ自分たちの出し物をアピールできるかが重要になってくると思う。

 俺たちは所詮一日目に好調なスタートを切れただけだ。

 二年生や三年生は明日どう動いてくるかわからない。

 それに三組だって、今日の売り上げがどうとかは知らないし、それどころか何をしているかも知らないが、明日に全力を注いでくるだろう。

 というかそんなことより……。


「はぁ……明日学校来たくねぇなぁ~」


 俺は今現在激しく後悔していた。

 ミスコンになんて出なきゃよかった!

 俺なんてただ晒しものになるだけなのに!!

 でも、あのゲームは欲しいし……。


「はぁ……」


 まぁ、しかし俺だって無策で挑むわけじゃない。

 出場して笑われないくらいにはなんとかする方法はある。

 あまり気は進まんがな……。


「ちょっと」


「ん? なんだよ井宮」


 俺が悩んでいると着替えを終えて、普通の制服姿に戻った井宮が俺に話かけてきた。

 なんだ?

 今日のイベントのお誘いか?


「あんた、ミスコンに出るの?」


「あ、あぁ……まぁ……」


 そっちか、まぁ文化祭の入り口に写真が飾られてるらしいしすぐにばれると思ったけど……。

 

「なんでよ、あんた出ないって言ってたのに」


「まぁ、いろいろあったんだよ」


「いろいろって何よ? あんたが単純な理由でミスコンなんてイベントに出るなんて思えないなんだけど?」


「限定品を手に入れるチャンスなんだよ」


「え? どういうこと?」


「説明が面倒だからこれ以上は言わない」


「何よそれ、なに? とうとう自分の顔について理解したの?」


「理解? あぁ、それは前からしてるぞ、見るに堪えない醜い顔だってことをな」


「あぁ、全然理解してなかったわね」


 なんだと?

 俺ほど自分を理解している人間はいないと思うのだが?

 まぁ、いいや。

 今日は早く帰って明日に備えないとな……。


「アンタ、もう帰るの?」


「まぁな、終わったし」


「そう……晩飯一緒にどう? 私の家、今日親帰ってこないのよ」


「あぁ悪い、今日は真っすぐ帰らねぇと」


「そう……じゃぁ、ゲームは?」


「まぁ、帰ってからの姉貴の機嫌次第かな? 悪いけど今日はゲームもできるかわかんねぇわ」


「なんか忙しそうね」


「ま、いろいろあってな」


 俺はそういいながら、バックの中に荷物を詰めて教室を後にする。


「じゃ、俺は先に帰るわ」


「う、うん」


 俺は井宮にそう言って教室を後にした。

 

「さて、どうやって頼むか……」


 俺がミスコンでイケメンたちと戦うためには姉貴の協力が不可欠だ。

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