第134話 文化祭編23

 よし、その調子で俺も助けてくれ!!

 なんて事を考えていたのだが……。


「さぁ、行きましょう高城さん」


 あれぇ?

 俺は!?

 くそっ!

 さっきからメチャクチャ視線を送ってるのに、あの野郎一向に視線を合わせようとしやがらねぇ……。

 自分でなんとかしろってことか?


「前橋君次は私とお願いね」


「え、って先生!?」


 俺が休憩に入ろうとしていると、石崎先生がやって来た。

 てか、なんで先生まで俺の写真を?

 

「じゃぁ、これ持って貰って良いかしら?」


「え? なんですかこれ?」


「良いから良いから、はい持って」


「それじゃぁ撮りますよぉ~」


 言われるがままに俺は言われた紙を見せるようにして持ってカメラの方を見る。

 気になって持たされた紙を見る。


【私たち結婚します!】


「うわぁぁぁぁ!!」


 思わず投げ捨てて逃げ出してしまった。


「あ、ちょっとどこに行くのよ!!」


「ふざけるな! アンタ教師の癖に生徒とどんな写真撮ろうとしてんだ!」


「別に減るもんじゃないんだから良いでしょ!!」


「おい英司撮って無いよな!?」


「心配するな! ばっちり撮った!」


「やりやがったなテメェ!!」


「うるせぇ! お前ばっかり良い思いしやがって! それに先生からは通常の三倍貰ってるんだ写真くらい撮られろ!」


「ありがとう笹原君! 私の教科の成績は期待して良いわよ!」


「ありがとうございます!!」


「てめぇ俺を売りやがったな! もうやってられるか! 俺はやめる!!」


「あ、逃げた!」


「前橋君待って!!」


 俺はそのまま教室を飛び出して逃げた。

 こんなのやってられるか。

 全く、英司も英司だ、あの野郎金に目がくらみやがって……。

 俺はそのまま人気の無い校舎裏まで逃げてきた。

 はぁ……なんで俺がこんなに疲れなくてはいけないのか……。

 まぁでもあの状況から抜け出せたのは良かった。

 さて、この後どうするか……教室にはしばらく戻れそうにないし。


「とりあえず屋上にでも行くか、一人で文化祭を回るなんて寂しいし」


 俺は再び校舎の中に戻る。

 井宮と高城はどっか行ったみたいだな。

 

「お、前橋じゃないか」


「八代、お前何してるんだ?」


「あぁ、実は野球部でも文化祭の出し物をしててな、店番してんだよ」


「そうなのか、それで何の店なんだ?」


「まぁ、みんなクラスの出し物で忙しいからな、缶ジュース売ってるんだよ」


「なるほどな、だからお前一人で十分なのか」


「あぁ、一年生が店番係でな」


 そう言う八代の後ろには子供用のプールが用意されており、その中に大量の氷と水、そして大量のジュースがその中に入っていた。

 

「折角だから買っていかないか? 売り上げが部費になるんだよ」


「まぁ、一本くらいなら」


「お、サンキューどれが良いよ?」


 喉も乾いていたし丁度良い、俺は八代の店で飲み物を買う事にした。


「そう言えばクラスの方はどうよ?」


「あぁ………盛況じゃね?」


 俺は正直地獄だったけど……。


「お、マジか! これなら三組に勝てるんじゃね?」


「そう言えば三組って何の出し物してるんだ? おれ全然わからねぇんだけど」


「あぁそうなのか? 俺はさっき見てきたけど、あっちもかなり気合入ってたぞ」


「言うだけはあるって事か……」


「前橋も見て来て見ろよ、結構面白かったぜ」


「あぁ、そうするよ、それじゃぁな」


「おう、じゃぁまた後でな」


 俺は八代から飲み物を受け取り、野球部の出し物を後にする。

 三組の出し物か……確かに喧嘩を吹っ掛けてきた相手の出し物だし気になる。

 しかし、一人で様子を見に行くのもなんか寂しいし、それに一人だとなんか緊張する。

 

「ま、明日にでも見に行けば良いか……」


 俺はそのまま屋上に向かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る