第133話 文化祭編22

 普通に写真?

 なんで俺と?

 本当に何か裏があるんじゃないか?

 考えていると女子二人は勝手に俺の隣に来て密着し。


「はい、撮りますよぉー」


 勝手に英司がカメラを構え。

 パシャリ。


「はい、一枚500円ねー」


「ありがとうございました!」


「やった! 前橋君と写真撮っちゃった!」


「うふふ、自慢しちゃお!」


 勝手に撮影を終えられ、文句を言おうとした瞬間。

 

「ま、前橋!」


「圭司君!!」


「「私とも一枚!!」」


 井宮と高城にまで写真を要求された。

 なんだこいつら?

 俺なんかと写真とって何か楽しいのか?

 まぁ、いいやどうせ立ってるだけだし……。

 なんてことを考えていると今度は……。


「くそぉ……前橋のやつぅ~」


「イケメン死ね! イケメンくたばれ!」


「地獄に連れて行ってあげようか?」


「前橋君……そんなに女子が良いのかい?」


 なんか周囲から殺気を感じた。

 なんだろう、この謎空間。

 俺疲れてるのかな?

 なんてことを考えていると。


「はいはーい、前橋と写真を撮りたい人は一列にならんでー」


 俺と写真を撮る列が出来ていた。


「いやいや! 英司なんだこれは!!」


「なにって、お前と写真を撮りたいってやつが押しかけてるんだよ。わかったらさっさと準備しろドル箱」


「なんでだよ! なんでみんな俺なんかと写真をとりたがるんだよ!」


 まさかあれか!

 不細工と写真を撮ると願いが叶うっていう噂でも流れてるのか?

 なんて迷惑な噂だ!

 くそっ!

 不細工なら他にもいるだろうに!!


「はいはーい、並んで並んでー」


「前橋君と写真撮れるって本当?」


「本当本当! 500円だって!」


「ワンコインなんてお得よねぇ~」


「はいはーい、金はこちらにお願いしまーす」


 なんか……俺、接客も何もしないで立ってるだけでよくなってしまったのだが?

 これで良いんだろうか?

 まぁ、俺からしたら楽でいいけど。

 しかし、ずっと同じポーズで居なきゃいけないから、やっぱり少し疲れる。

 それに客は止まらないし、俺はいつまでここに立ってればいいんだ……。

 てか、そろそろ俺のシフト時間終わるんだが……。


「英司、そろそろ交代の時間だろ? 俺はもう行くぞ」


「逃がさんぞ」


「なに!?」


 俺がそう言ってその場を離れようとすると、英司が俺の肩を掴んで離さない。


「おい、俺のシフトはもう終わりだ! もう労働なんてしたくない!」


「黙れ金づる! お前さえいればうちのクラスはかなりの金を稼げる! こういう時くらいクラスに貢献しろ!」


「知るか! 俺は別にクラスの為に何かしたいとは思わねぇーんだんよ! 良いから離せ! このカメムシ野郎!」


「あ、言ったな! てめぇ言ってはいけない事を言ったな! 良いから早く戻れ! 高城や井宮だって頑張ってるんだぞ!」


 

え?

 そう言えばさっきから写真撮影が大変で見なかったけど、あいつら何をしてるんだ?

 

「高城さん! もう一枚僕と!」


「馬鹿野郎! 次は俺だ!」


「うるせぇ黙れ! お前ら何回目だ!」


「え、えっと……」


 多くの男どもに迫られ大変そうだった。

 もちろん井宮も高城同様に可愛い、だからきっと井宮も……。


「あのさ、私もう上がりなんだけど、上がってもいい?」


「「「「はい! 井宮様! 撮影ありがとうございました!!」」」」


「ありがと」


 なんか……違う……。

 井宮は俺達とは違い、なぜか男子たちに崇められていた。

 まるで女王様だ。

 てか、あいつだけなんであんな扱いなんだ?


「ほら、高城さん早く行きましょ」


「え? う、うん……でも」


「アンタら、この子はもう終わりの時間なの! はい解散、解散!」


 井宮が高城さんの元に向かい、並んでいる男達にそう言うと、男達は井宮に言われるままに解散した。

 あいつすげぇな……。 

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