第132話 文化祭編21
「え? あぁ、まぁ……」
「ど、どうなのよ?」
「いや……別に俺はミスコンとかどうでも良いし……」
上手く誤魔化そう。
そうしないと後々何か言われそうだ。
まぁ、でも実際俺はどっちに入れるだろうか?
井宮も高城も顔は良いからなぁ……正直どっちに入れれば良いのか分からんなぁ。
「誤魔化したわね」
「誤魔化したね」
「よぉーし次行くぞー!」
ま、本当にミスコンとかどうでも良いし。
俺達は校舎内を回り、昇降口前に移動し、一通り文化祭を一周して教室に戻って来た。
一般公開は明日だが、それでも学校内はお祭り騒ぎだ。
校庭の特設ステージでは校内のど自慢大会が始まっていた。
あの真面目な教頭先生が演歌を熱唱していたのは意外だった。
俺たちの担当の時間になり、俺たちは三人揃ってクラスに戻って来た。
コスプレ喫茶は意外にも好評だった、客はほとんど男子だったが順番待ちの列まで出来ていた。
「あ、帰ってきた! 前橋、待ってたぞ!」
「別に待たれる覚えはないんだけど?」
「まぁ、そう言うなって! 一番集客を見込めそうなお昼にお前と高城さん井宮さんを入れたのは、売り上げを伸ばすためだ! よろしく頼むぞ!」
帰ってくるな池内が俺にそう言う。
そうは言われても、俺なんか何の役にも立たないぞ?
高城や井宮はコスプレして接客するだけで男子を集められるが……。
それに……。
「売り上げ伸ばしたいなら、あの変態とはシフト分けるべきだったんじゃね?」
俺は全身真緑の英司を見ながら池内にそう言う。
「あぁ、笹原はゲテモノ枠だ!」
「なんでゲテモノとエースを一緒の時間帯に入れるんだよ……」
「おい、なんかいったか?」
「うわっ! きた!」
池内と話をしていると先ほどまで遠くにた英司がこちらにやって来た。
確かに見た目がどうとかを置いておけば、こいつの恰好は目立つし宣伝にはなるだろう。
「お前、その恰好もう慣れてきたろ?」
「まぁな、最初は少し肌寒かったんだが、意外と慣れるもんだな!」
俺も英司の気持ち悪い姿に慣れつつある。
慣れって怖いなぁ……。
俺達は池内や他のクラスメイトから業務を引継ぎ、コスプレ喫茶の運営が始まった。
「いらっしゃいませー!」
井宮は接客に慣れている様子だった。
直ぐにコツを掴み、オーダーを取ってきたり、商品を運んだり、テキパキ動いていた。
「は、はい! えっとコーヒーが三個ですか? あ、ごめんなさい2個でした!」
高城は慣れていない感じだったが、根が真面目なのと可愛さが相まって客からの評判が良かった。
「お待たせいたしました! 青汁です!」
「いぁぁぁ芋虫ぃぃぃ!!」
英司は客に気持ち悪いと言われ、時折泣き叫ばれていた。
なんか……あいつ可哀想だな。
今回ばかりは同情するぜ……あ、あいつ目から涙が……ドンマイ。
「あ、あのぉ……」
「え? あぁ、なんですか?」
「しゃ、写真とか一緒に良いですか?」
「え?」
うちのクラスではコスプレした店員と写真撮影が出来る。
一応無料だがシャッターを押すのは本人では無く店の店員という決まりを作っている。
あんまりきわどいところを撮らないようにという配慮もある。
俺に撮影を頼んできたのは恐らく一年生の女子二人組。
てか、なんで俺に頼むかねぇ~?
あ、そうか俺にシャッターを押して欲しいってことか。
「良いよ、誰と取るの?」
「いや、だからその……前橋君と撮りたいなって……」
「え?」
よし、こいつら追い出そう。
俺をからかって後で笑いものにする気だな。
なんて趣味の悪い奴らだ。
「からかうのはやめてくれないか? 俺と写真撮っても良いことなんてないよ? それともなに? 不細工と写真撮ると彼氏が出来るジンクスでもあるの?」
「いや、そういうのじゃなくて普通に写真とって欲しいんだけど……」
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