第131話 文化祭編20

「ねぇねぇ、君たち有名な一年生だろ? ちょっと話し良いかな?」


「なんですか?」


 明らかに軽そうな感じのする茶髪の先輩は俺達三人にチラシを渡してきた。


「うちの学校でミスコンをやってるのって、君達知ってる?」


「ミスコンっすか?」


 あぁ、ゲームでよくあるイベントだな。

 大抵こういうイベントは女性キャラが色々な恰好で登場するサービスシーンだが、うちの学校はどんな感じでやってるんだ?


「良かったら参加して欲しくてさぁ~君たちを探してたんだよ」


「あぁ、なるほど」


 確かに井宮と高城は一年生の間では学校一の美少女なんて呼ばれてるもんなぁ。

 このミスコンを気にどっちが本当の学校一の美少女かも決まるかもしれない。

 きっとこの先輩はそんあ噂を聞きつけて俺たちに声をかけてきたのだろう。


「高城、井宮、どうするんだ?」


「私は興味ないわね」


「私も別に良いかな……自身ないし」


 この美少女二人は何を言ってるんだか……こういう自覚の無い奴の謙遜って人によっては反感を買ったりするんだろうな。

 

「まぁまぁそう言わずに! 優勝者には豪華な商品もあるんだよ!」


「なんなんですか?」


「現金5万」


「金かよ……」


 良いのかそれは?

 まぁ、うちの学校だったらありえない事じゃないか。

 

「ご、五万……」


 井宮がなんだか悩み始めた。

 あぁ、きっとあれだな、来週出る新しいハンティングアクションゲームを買う資金に出来るとか考えてんだろうな。

 

「ご、五万円……」


 高城も悩み始めた。

 まさか高城も何か欲しいものでもあるのか?


「んで、お前らどうするの?」


「「参加する!!」」


 さっきまで興味が無いとか言ってた奴らどこに行った?

 まぁ、いいや。

 俺には関係の無いことだし。


「ありがとう! じゃぁ参加用紙に名前を書いて! あ、あと写真だけ撮らせてね! 写真は文化祭の入口前に飾られるから、あとミスコンは明日の午後からだから、校庭のメインステージに来てね!」


「わかりました」


「うぅ、緊張するなぁ~」


「じゃぁ、早速写真取るね!」


「ちょっと待ってください」


「え? どうかした?」


 先輩は何故か申し込み用紙を三枚渡した。

 まったく、先輩もオッチョコチョイだなぁ~井宮と高城の分だけで十分だろに。


「一枚多いですよ、二枚で十分のはずです」


「いや、女の子二人が参加だからてっきり君も出場すると思ったんだけど……出ないの?」


「それはなんですか? 俺に笑い者になれと?」


「いやいや、別にそういうわけじゃないだんけど……結構良いところまで行くと思うんだけどなぁ~」


「何を言ってるんですか、俺なんか出たら場違いですよ」


 俺がそう言うと先輩は何故か不思議そうな顔をしながら、俺の手から申し込み用紙を受け取った。

 

「まぁ、無理は言わないけど、男の方も優勝賞品でるよ?」


「どうせ優勝なんて無理なんで良いですよ、こっちの二人と違って」


「そうか……残念だよ。じゃぁそっちの二人は飾る用の写真撮ろうか!」


 そう言って井宮と高城は近くの教室に連れて行かれた。

 俺は写真撮影が終わるまでの間、スマホを操作して待っていた。

 教室の中からは先ほどの先輩の声が聞こえてくる。


「あれ? 二人ともなんか顔赤いよ? 大丈夫?」


「だ、大丈夫です!!」


「うぅ……圭司君変な事いうから……」


 なんか手間取ってるみたいだな。

 早く終らないだろうか?

 てか、素直にこのミスコン少し気になるな。

 井宮と高城のどっちが勝つかもそうだが、上級生の中にはこの二人以上の美少女が存在するのだろうか?

 数分後、二人は教室から出てきた。


「お疲れ」


「う、うん」


「き、緊張するね……」


「どうせ人前に立つのは明日だろ?」


「そうだけど、まさかあんな大きな写真が飾られるなんて……」


「まぁ、ミスコンなんてそう言うもんだろう」


「え、えっと……け、圭司君は私と井宮さんのどっちに投票してくれる?」


「え?」


 なんかどう答えても角立ちそうな質問が来てしまった。

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