第130話 文化祭編19
*
一般解放は明日だというのに学校内は賑わっている。
昇降口前では出店が並び、各教室には各クラスが創意工夫した店が並んでいた。
「お化け屋敷、タピオカ、ストラックアウト……意外と普通だな」
「よく見て見なさいよ、普通じゃないのもあるわ」
そう言って井宮が指さす方を見ると、そこには『ビューティー加奈子の心霊占い』と書かれていた。
ツッコミどころが多すぎてどこからツッコんで良いのやら……。
「確かに変な出し物もあるな」
「あっちにあるのも結構変わってるよ」
そう言って高城さんの言う方を見ると、その教室には『名人吉川とゲーム勝負』と書かれていた。
うん、コッチもツッコミどころが盛りだくさんなようだ。
「うちの学校ってやっぱり変わってるな」
「ま、それが良いところでもあるんじゃない? 普通ここまで自由になんでもやらせてく売れる学校ないわよ」
「そうだけど、限度があるだろ……なんで学園祭の出し物の中に中古のゲームショップがあるんだよ」
「あぁ、あれはeスポーツ部の出し物だよ」
「うちの学校にそんな部あったの?」
流行に乗るのも早い学校だな……。
しかし、少し気になるな、後で行って見よう。
「それより、さっきからすごい視線を感じるんだが……お前らちょっと離れて歩いてくれない?」
「何よ、私たちのせいだって言いたいの?」
「他に何があんだよ、お前らみたいな顔が良いのと歩いてる俺の身にもなってくれ。比べられて大変なんだよ」
これだから一緒になんて歩きたく無かったんだ。
さっきから男子の視線は俺と一緒に歩く、井宮と高城に釘付けだ。
なんでか知らないけど、女子もこちらをじっと見ていたが、きっと井宮と高城が綺麗過ぎて女子まで見とれていたんだろう。
そんな二人と歩いているのが俺みたいなブ男だ。
比べられるに決まってる。
きっと月とすっぽんとか思われてるんだろうな……。
「な、何言ってんのよ馬鹿! そ、そんな事ないわよ!!」
「何怒ってんだ井宮?」
「か、顔が良い……へへ……」
「高城はなんで笑ってんだ?」
二人の反応が謎過ぎる。
色々な人間の視線を集めながら、俺たちは目的のクレープ屋にやって来た。
出店しているのは二年二組、一個上の先輩の店だ。
先輩の店なんて普通怖くて来ない気もするが……高城か井宮の知り合いのクラスだろうか?
「へぇ~色々あるわねぇ~」
「どれにする圭司君?」
「そうだなぁ……」
「お! 一年の有名人三人が揃って来店か! 嬉しいねぇ~」
「え? 今なんと?」
俺は先輩の言葉に思わず聞き返してしまった。
「だから一年の有名人だよ、お前らだろ?」
「まぁ、二人は認めますけど三人では無いですよ」
「そうなのか? しっかし、確かに可愛いなぁ今年の一年! 俺も一年遅く生まれてればなぁ~」
「そんな、別に可愛くないですよ」
「そ、そうですよ! 全然普通で……」
「確かに見慣れるとそうでもないでっていったぁぁい!!」
俺がそう言っている途中で両方の足に激痛が走った。
見てみると、両隣の井宮と高城が俺の足を踏みつけていた。
「ははは、男の方はデリカシー無い見たいだぁ~。ほれ一年! ホイップ多めにしておいたぜ、ついでにこの店の宣伝もよろしくな!」
「は、はい……痛い」
「ありがとうございまーす」
「なんかすいません」
陽気な先輩からクレープを貰い、俺達は食べながら校舎内を歩き始めた。
「なぁ、なんでさっき足踏んだんだ?」
「アンタが失礼だからよ」
「そうだね、さっきのは無いかな?」
「高城まで……」
まさかいつも大人しい高城まであんな事をするとは思わなかった……。
あぁ、足痛いなぁ……。
なんて事を話しながら歩いていると、今度は変な先輩に話し掛けられた。
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