第129話 文化祭編18

「いいんじゃね?」


「なによ、もっと言うこと無いの?」


「それ以上何を言えって言うんだよ」


 なんか、この二人だけ回りと空気が違うな……。

 元はと言えば俺の提案だけど、なんかちょっとエロい。

 さっきまでは井宮と高城の姿に見とれていた男子達も、次第に他の女子に視線を移していた。

 まぁ、二人の時程反応は良くないが……。


「お前巫女服かよ、ドリンク運ぶときどうするんだよ?」


「紐で縛るわよ」


「なんかお前、露出多くね? 大丈夫か?」


「何よ、別に大丈夫よアンタに心配されなくても、お父さん見たいなこというのね」


 そんな事をしている間に文化祭の開始を告げる放送がなり始めた。


『それでは第32回千善高校文化祭を開始致します』


 随分あっさりした開始の放送だなぁ……。


『なお、文化祭での注意事項の説明を石城先生からお願いしたいと思います』


 え?

 あの先生が注意事項の説明するの?

 大丈夫かなぁ……。

 この前の宿泊学習の時も他の先生に止められていたけど。


『えぇ、それでは文化祭の注意事項についてですが、まずはゴミの処分ですが……』


 結構真面目な注意説明が流れた。

 まぁ、あの人もあれで先生だ。

 ちゃんとした場ではちゃんとした事を言うんだな。


『そして最後に、我が校は文化祭の二日間男女の不純異性交遊を禁止しています』


「「「「「え?」」」」」


 クラスメイト全員が先生の放送に思わず声を出した。

 そして次の瞬間、最早騒音とも言える先生の大声が校舎内に響き渡った。


『コラお前ら! 文化祭だからって浮かれて付き合い出すマジでやめろよコラ! 文化祭の準備の時から良いと思ってて……とか言う女子居たら私がとっつ構えて説教してやる! 大体女なんて男の顔とち……』


『いかん止めろ! いつものだ!』


『だから私は反対だったんです! 石城先生に放送させるのは!!』


『えぇい! 離せ既婚者ども! 独身を舐めるなぁぁぁぁ!!』


 その言葉を最後に放送は切れた。

 もうマジであの先生はなんでクビにならないんだろう……。

 

「えっと……とありえず始まったって事で良いのかな?」


「ま、まぁそうじゃね?」


「じゃ、じゃぁまずは俺らが店の方を見てるから、他の奴ら遊んで来いよ。解散!」


 そう言われてもなぁ……。

 なんていうか締まりの無い開始宣言だったから、他のクラスの奴らも途惑ってるみたいだし。

 まぁ、良いか。

 当初の予定通り、俺は屋上で時間までソシャゲでも……。

 なんて事を思っていた俺の肩を井宮と高城がガッチリと掴む。


「な、なんだよお前達……」


「ね、ねぇ圭司君良かったら一組が出してクレープ食べに行かない?」


「あんた、どうせ屋上でずっとサボってようと思ったんでしょ? だったらちょっとくらい付き合いなさいよ」


 ば、バレている……。

 しかもこいつら意外に力が強い。

 くそっ!

 俺は別にクレープなんて食べなくていいし、なんだったらあんまりこの恰好で出歩きたくない。

 なぜなら『っぷ! 不細工がコスプレしてらぁ』みたいな陰口を言われるのが嫌だからだ!

 いくらあまり目だ立たない恰好とは言っても、皆と違う服を着ているのだ絶対にみんなから何かしら言われてしまう!

 しかもこの二人と並んで歩いたら、更に俺の不細工が引き立ってしまう!!


「ほら、いくわよ」


「あ、俺はまだ行くなんて一言も」


「良いから」


「行こ圭司君!」


 二人に手を引かれ、俺はそのままクレープ屋に連行された。


「くそぉ~前橋のやつぅ~」


「いいなぁ~うちの美少女二人と文化祭デートか」


「流石だな、悔しいけど……あいつなら仕方ない」


「まぁでも……」


「うん、そうだな」


「あぁ、もちろん!」


「「「「「羨ましいから後で制裁だな!」」」」


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