第128話 文化祭編17
✱
文化祭当日、俺はため息を吐きながらコスプレをして文化祭開始を待っていた。
「はぁ……面倒だなぁ〜」
「なんだよ前橋、文化祭だってのに元気ないな!」
「お前は元気だな池内」
俺が椅子に座りながらため息を吐いていると、クラス良いんであり、俺のライバル?(俺は別にライバルだと思ってない)である池内に声を掛けられた。
池内は戦国武将のような格好をしており、正直めちゃくちゃかっこよかった。
良いなぁー俺もイケメンだったら着るのに……。
「当たり前だろ! 三組の奴らに絶対勝つんだ!」
正直俺はどうでも良いんだけどな。
さて、どうするかな?
文化祭一日目は男女八人ずつ5つの班に分かれて行う。
俺は一日目の昼からのシフトだから、朝は暇だ。
別にどこか見にいきたい場所があるわけでもないしなぁ……。
「確か英司も朝は暇だったよな? 一緒にどっかで……」
そう言い掛けた瞬間、俺はやつの格好を見て思った。
全身裸な上に緑色、あちこちからは毛が生えており、正直気持ち悪い。
まぁ、芋虫のコスプレなんてさせるうちの女子もどうかと思うが、こんな格好の奴と一緒にはいたくない。
絶対に目立つ。
「ん? なんだ、圭司も暇なのか? 仕方ない奴だ、唯一の友人である俺が一緒に文化祭を回ってやろう」
「いえ、良いです。てかあんまり寄るな、気持ち悪い」
「なんだと! 言っておくけどなぁ! 俺だって別に好きでこんな格好してるわけじゃ……」
「うん、わかった。わかったからお前は校庭で草でも食っててくれ」
流石にこいつと文化祭を回るのは目立ちすぎる。
仕方ない、俺は一人で屋上に行ってソシャゲでもしてようかな?
どうせ何もすることねぇし。
そんなことを考えていると、着替えを終えた女子達が教室にやってきた。
「うーん、少しきつかったかな?」
「喜べ男子共、女子様達が来てやったぞ!」
「う、うわぁ……思ったよりもスカート短い……」
「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」
男子たちはやってきた女子たちに向かって喜びの叫びを上げていた。
まぁ気持ちはわからないでもない。
確かにうちのクラスはなかなかにルックスの良い女子が多いし、かなり目の保養になる。
「いやぁ〜井宮がレディーススーツとは! なんか出来る女上司って感じでいいな!」
「しかも、高城も同じレディーススーツだ! なんかこっちはドジっ子新入社員って感じだよな!」
「俺、前まで高城さん派だったけど井宮さんも良いな」
「あぁ、なんかどっちもいいよな!」
こいつら、他の女子には目もくれず高城と井宮にばっかり視線が行ってるな……。
それにはもちろん俺以外の女子たちも気がついていた。
「っち、まじで男子サイテー」
「結局私達は眼中に無いってか!」
「あとで全員山に埋めにいきましょう」
「私スタンガン持っていくわ」
「私スコップ」
「じゃぁ私は軍手を」
おぉ、やめろやめろ。
スタンガンで眠らせて、軍手をはめてスコップで穴ほって埋める情景が想像出来ちまったよ。
うちの女子ってやっぱり怖いな……。
「ど、どうよ? 一応あんたのご希望通りだけど……」
「え、あぁ……良いんじゃないか?」
俺がそんなことを考えていると井宮がやってきて俺に訪ねてくる。
ご希望通りっていうか、ただ俺の趣味を教えただけなんだがな。
「わ、私もどうかな? 胸の辺りが少しきついんだけど……」
そりゃあそれだけ立派な物をぶら下げれればな……。
しかし、まさか二人ともスーツを着るとは。
まぁ、俺が選んだんだが……予想以上に似合っているな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます