第123話 文化祭編12



「すごいわねあのテーブル」


「美男美女が三人!! 全員芸能人とかかしら?」


 ファミレスと言う場所が俺は結構好きだ。

 結構長いしても何も言われないし、なんだったら自分の部屋以上に勉強が捗る場所だ。

 しかも、ドリンクバーもあるし、お腹が減ったら何かを注文すれば店員さんが持ってきてくれる。

 まさにファミレスは俺の第三の聖地と言っても過言ではない。

 ちなみに第二の聖地は漫画喫茶、第一の聖地はやっぱり結局自分の部屋だったりする。

 そんな俺の大好きなファミレスなのだが……。


「でもびっくりしたわぁ〜まさか圭司君にこんな可愛いお友達が言るなんて」


 なぜ友達の部分を強調するんだ?

 

「私もびっくりですよ〜まさかアイドルのあなたが一般人の前橋に好意を抱いていたなんて〜、アイドルって恋愛禁止じゃないんですか?」


 あぁ、なんか知らんけど井宮も大分来てるなぁ〜、宿泊学習で俺を殴ったときと同じ目をしてる気がする。

 しかも容姿の良いこの二人と相席だ、周囲から注目を集めないはずがない。

 はぁ……絶対あの場違いな不細工男はなんだと思われてんだろうな……。


「それで、さっきの話ですけど詳しく聞いていいですか?」


「あら? さっきの話ってもしかして、私が圭司君を部屋に連れ込んだって話だったかしら?」


「へぇ〜そうなんですかぁ〜」


 怖い!

 なんで怒ってるかわからないけど怖いよ井宮!!

 なんでそんな今にも人を殺しそうな目で俺を見る!


「ちょっと休憩させてもらっただけだよ」


「休憩ねぇ……」


「んだよ、お前の部屋に行っただろ? それと似たような感じだ」


 井宮の軽蔑の視線に耐えきれず、誤解を解くために俺はそういったのだが……それがいけなかった。


「へぇ〜部屋に遊びに行く関係なのねぇ〜」


 今度は川宮さんが俺のことを生ゴミでも見るような目で見てきた。

 いや、別に友達の家くらい誰だって行くでしょ!

 ん?

 でもあれか?

 川宮さんは俺のことが好きなわけだし、他の女子と仲良くしているのを見たり、部屋にいったとかそういう話をされることが嫌なのか?

 だから怒ってるのか?

 ………いや、気にしすぎでしょ?

 この不細工顔でモテるわけ無いでしょ!

 川宮さんはもっと俺のモテなさ具合を理解してほしい。

 俺みたいな不細工に惚れる物好きなんて、川宮さんぐらいだっての……。


「あの川宮さん、何か誤解をしているようですが、俺とこいつはそういう関係じゃありません」


「あら、鈍感な圭司君も流石に私が嫉妬してるってことに気がついた?」


「まぁ、なんとなくは……」


「じゃぁ、今晩こそ私の部屋にご飯食べにきてくれるかしら?」


「はぁ!? アンタそんなことまで!!」


「いや、行かねーよ! 流石に一人暮らしの女性の部屋にはそう簡単に行けるわけねぇだろ」


 あぁ、もう面倒くせぇ〜!!

 川宮さんの機嫌を取ったら、次は井宮の機嫌が悪くなる。

 いい加減もう帰りたい……。


「私は別にいつ来てくれてもいいのよ」


「嫌ですよ、何されるかわかったもんじゃない」


「一体何をされるのよ……」


「まぁ、良いわ。まだまだ時間はたっぷりあるから、時間を掛けておとしていくわ」


「い、良いんですか? トップアイドルのあなたが、こんな面倒くさい性格のバカのために時間使って、後で後悔しますよ!」


「おい、バカは良いとしても面倒くさいってどういうことだ?」


 失礼な!

 俺みたいなあっさりした性格の奴、そんなにいないぞ!


「それ、貴方にも言えることよね?」


「なっ!!」


 川宮さんにそう言われ井宮は顔を真っ赤にする。

 どうしたんだ?

 てか、どういう意味だ?

 俺は話についていけずにポカンとしていた。

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