第119話 文化祭編08

「ま、まぁ仕方ないな……クラスの奴らもやる気だし、その勝負受けてやっても良いぜ」


 うちの女子のレベルは高い。

 井宮や高城に隠れているだけでレベルの高い女子は多い。

 勝算は十分にある上に、このクラスには九条や池内といった、人脈の広い陽キャも居る。

 勝てる見込みは十分にある。


「ふふ、勝負を受けたことを後悔させてあげるよ」


「望むところだ! 三組なんかに負けるかよ!」


「だからなんで池内が答えるの?」


 まぁ、いいや。

 どうやらクラスの奴らもやる気見たいだし、俺がどうこうするような話しでもないし。

 ま、クラスの奴らに任せておけばなんとかなるだろう。

 俺はいつも通り影からこのクラスを支えるか。

 

「それじゃぁ僕は自分のクラスの戻るよ、文化祭当日が楽しみだね」


 そう言って最上は自分の教室に帰って行った。

 てかあいつのクラスの出し物ってなんだろう?

 あれだけ自信満々だったって事は何か秘策でもあるのか?


「頑張ろうな前橋!」


「え? あ、あぁ……」


 池内が俺の肩を抱いてそう言ってきた。

 ま、正直俺はそこまで頑張る気なんてないのだが……。


「皆やるぞぉ! 三組なんかに負けて溜まるかぁぁぁぁ!!」


「「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」」


 おぉーみんなやる気があっていいなぁ~。

 俺は早く家に帰ってゲームすることしか考えてないよ。

 

「三組に勝つとなると……ルックスの良い井宮や高城、あと前橋のコスプレ衣装が重要になってくるぞ!」


「そうよね! 前橋君のコスプレ衣装は重要よね!」


「井宮さんと高城さんの衣装も男子受けの良い物にしないと……」


「やっぱり水着なんぐぼらっ!」


「あ、ごめん笹原、気持ち悪くてつい」


「ついってなんだよ! 犯罪者みたいな言い訳しやがって!!」


 そうだな、確かにうちの営業の要である井宮と高城の衣装は特に力を入れなくてはダメだ。

 しかし、おかしいな。

 なんで俺の衣装の話しまでしてるんだ?

 俺なんて顔が悪いんだから、何かの着ぐるみで十分なんだが?

 【コスプレ喫茶こちら!】見たないプラカード持って立ってるけど?


「前橋君はそうねぇ……やっぱり裸Yシャツとかどうかしら!!」


「ギャルソンスタイルもありよ!」


「やっぱり、執事服でしょ!」


「僕は赤ふん一丁なんて良いと思うなぁ……はぁ……はぁ……」


「なぁ、あいつ絶対そっち系だよな?」


「あぁ、絶対にあれは前橋を狙ってる」


 何やら俺抜きで俺のコスプレ衣装の話し合いまで始まっている。

 やめろ!

 俺にそんなイケメンがする恰好似合うわけねぇだろ!

 てか誰だ!?

 赤ふん一丁なんて言った奴、ぶっ殺すぞ!


「なんだかすごいことになって来たわね」


「あぁ、そうだな」


 井宮がため息を吐きながら俺に近づいてきてそう言う。

 

「お前は良いよな、顔が良いから何を来ても様になる」


「そ、そんなこと……ないわよ……」


「はぁ~あ、これだから自分が可愛いってのを認識してない奴は厄介だなぁ」


「その言葉、絶対アンタにだけは言われたく無いんだけど」


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