第117話 文化祭編06
「や、やっぱり圭司君は優しいね」
「そんな事ねぇよ、俺がそう言う考えってだけだ」
「……優しいよ」
優しいのは高城の方だ。
見た目が変わったくらいで俺は昔の好きな人に気が付けなかった。
まぁ、ここまでの大変身をしているとは夢にも思わなかったが、それでも気が付いてやりたかった。
そんな俺と高城は昔見たいに仲良くしたいと言ってくれた。
正直、今日のこの買い出しはチャンスだと思った。
昔のように二人で仲良く出来たら、俺はまた高城を好きになるのだろうか?
いや、好きにならなかったとしてもきっと大切な友人に慣れるきがする。
だから、今日のこの二人きりの状態はチャンスだと思ったのだが……残念ながら俺にそこまでのコミュ力は無かったようだ。
「じゃ、じゃぁ次の買い物行くか」
「う、うんそうだね……」
中々会話が続かない。
井宮や川宮さんならあっちが勝手に話してくれるから、俺はそれに答えるだけで楽なのだが……。
「そ、そう言えば圭司君は何のコスプレするの?」
「あぁ、まだ決めてないけど……英司に頼んで適当にかな?」
「そうなんだ……あ、あのさ! 執事のコスプレなんかどうかな? きっと圭司君に似合うよ!! あと眼鏡もかけてもらって! 手には白の手袋をつけて!」
「いや、そう言う恰好が似合うのは一部のイケメンだけだろ? 俺が着ても服に着られてる感じになっちまうよ」
「そ、そんな事無いと思うけどな……圭司君……か、カッコいいし」
やっぱり高城は良い奴だなぁ~。
俺みたいな不細工にも気を使ってそんな事を言ってくれるのか。
でも、あんまりそう言う事を他の男子には言わない方が良いと思うぞ?
勘違いする馬鹿とか居るからな。
「サンキュー、高城にお世辞でもそう言われると嬉しいよ」
「お、お世辞じゃないよ!!」
「そう言う高城は何のコスプレをするんだ?」
「え? あぁ、実は私も決めてなくて……圭司君は何が良いと思う?」
高城のコスプレか……高城なら何を着ても似合いそうな気がするが……。
そうだなぁ……高城は胸もデカいし、スタイルも良い。
男目線で行くと、ナースとか巫女さん、言わずもがなメイド服も似合うだろうな。
しかし、俺はそんな中でも高城にして貰いたいコスプレがあった。
それは……。
「レディーススーツだな」
「え? れ、レディーススーツ?」
「あぁ、絶対似合うと思う」
少しドジっぽい性格にきっちりとしたイメージのスーツはアンバランスで俺好みだ。
なんか、仕事の出来ない可愛い同僚みたいな感じで癒されそう。
おっと、あんまり話し過ぎると俺の変な趣味がバレてしまうな、ここはこれ以上は何も言わないでおこう。
「で、でもレディーススーツって可愛いかな?」
「俺は良いと思うが……まぁ、俺の意見だ気にするな」
「で、でも圭司君が似合うって言ってくれるなら……」
「え? 何か言ったか?」
「な、なんでもないよ! さぁ、早く残りの買い物を済ませて早く帰ろう!」
そう言って歩き始めた高城。
しかし、なんでか知らないが何もないところで高城はつまづきそのまま前の方に転んだ。
「きゃっ!!」
「高城! 大丈夫か? ってお、おい!」
転んだ高城のスカートはめくりあがり、中の下着がチラッと見えてしまっていた。
あぁ、こういう時に高城の心配をするよりも先にラッキーなんて思ってしまう俺は、きっとダメな男なんだろうな……。
白か……高城だけに……。
「え? きゃっ!」
「だ、大丈夫か?」
直ぐにスカートに気が付き、高城はスカートを抑える。
顔を真っ赤にし高城は俺に上目遣いで尋ねる。
「み、見た?」
さて、ここはどう答えるべきだろうか?
井宮の場合は正直に答えても答えなくてもきっと殴られるだろう。
川宮さんは逆に俺をからかってくるし。
高城の場合はどうだ?
あの二人と違って反応が読めないな……。
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