第116話 文化祭編05
*
文化祭の準備が始まった。
俺たちのクラスは最終的にコスプレ喫茶になり、準備に追われていた。
「圭司、買い出し頼んで良いか?」
「あぁ、別に良いけど何を買ってくるんだ?」
クラス委員である池内が俺に頼んでくる。
こいつもあの宿泊学習以降何かと俺に絡んでくる。
今では他のクラスメイトに「池内と前橋って仲良いよな」なんて言われる始末だ。
別に俺は仲良くなんてなった覚えはない。
まぁ、なんか知らんけどライバル認定されただけだ。
「買う物はこのメモに書いて置いたよ、あとこれは予算の一部」
「結構多いな」
「一人で無理だったら誰か誘っていってくれるか? 俺が一緒に行きたいんだけど、生憎色々忙しくてな」
「まぁ、別にそれは良いけど……」
俺はそういいながら辺りを見回す。
井宮でも誘おうかと考えたが、生憎井宮は他の女子とメニュー表を作っている。
仕方ないので英司の方を見るが、英司は借りてきた衣装を見てニヤニヤしていて気持ちが悪かった。
「じゃぁ、頼んだよ」
「おぉ……」
とは言ったものの気軽に誘えるのはその二人くらいだし。
あとは……あ、そうだ。
「高城」
「え? え、圭司君!? ど、どうしたの?」
「悪い、ちょっと付き合ってくれないか?」
「「「「え!?」」」」
なんだ?
俺は高城にそう言った瞬間、クラス中の視線が俺に集まった。
別に何も変わった事は言っていないと思うのだが?
当の本人の高城もなんでか顔を真っ赤にしている。
「おい、高城?」
「へ!? あ! えっと……付き合うっていうのは……その……」
「あぁ、良いか? 結構量が多くてな買い出し」
「え……あ、あぁ! 買い出しね! 買い出し……」
「あぁ、良いか?」
なんだ?
顔を真っ赤にしたと思ったら、今度はしょんぼりしてしまった。
俺、何も変な事を言ってないよな?
「な、なんだよ……前橋め驚かしやがって……」
「俺はてっきり前橋の公開告白が始まったのかと」
「まぁ、流石にそれは無かったな」
周りからはそんな言葉が聞こえてくる始末。 なんだ?
公開告白って、俺が何を告白すると思ったんだ?
だが、なんとか一緒に買い出しに言ってくれるやつも見つかった俺は、高城と共に学校を出て近くのデパートにやってきた。
「えっと、まずは百均だな」
「そ、そうだね。ほとんど百均で買う物ばっかりだね」
「まぁ、予算も限られてるからな……お、あったあった」
俺たちは二人で協力しながら、買い出しのリストの商品を集めていった。
「あ……」
「どうした?」
「これ……」
「ん? あぁ、懐かしいな」
「覚えてる? この水鉄砲」
「あぁ、夏になるとこれで良く遊んだな」
「そうそう! 私、昔は体大きかったから良い的になってたなぁ-」
昔、子供の頃遊んだ水鉄砲がまだ売られていた。
俺と高城はそれを見て昔話しに花を咲かせる。
「でも、圭司君は毎回そんな私を助けてくれたよね?」
「え? いや、あれは……」
ただ単に弱い奴だけ狙うっていう考えが嫌いだっただけだ。
そうなのだが……。
「今思えば、きっと好きだったからなんだろうな……」
「ふぇ!?」
「え……あ、あぁいやあの……昔の話しな!」
「あ、あぁ……そ、そうだよね……あはは……」
そう言えば宿泊学習で俺は高城本人に昔好きだったと打ち明けてんだよなぁ……。
普通だったらキモイとか言われそうなところだが、高城はそんな俺ともいまだに仲良くしてくれているし、昔みたいに仲良くしたいと言ってくれた。
本当に高城は良い奴だと思う。
「……まぁ、本当に昔は好きだったよ、高城の事……優しいし良く笑うのが可愛いと思ってたから」
「そ、そうかな? ただのデブだよ」
「いや、重要なのは見た目じゃねぇよ」
まぁ、昔の性格に今じゃこれだけの美貌だ。 モテない訳がないな。
俺なんかじゃ、高城の隣に居るのもおこがましい。
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