第114話 学園際編03
*
「なんでこうなった……」
結局、俺のクラスの出し物はメイド喫茶では無くコスプレ喫茶になってしまった。
そんなどこぞのアニメや漫画にありそうなシチュエーション、絶対に通らないと思ったんだが……。
「はぁ……」
「しっかし、流石は前橋だな」
「女子を説得しちまうなんて、流石だな」
「俺は別にメイド喫茶が良いなんて言った覚えはない」
ホームルームが終った後、九条と八代が俺の机にやってきてそんな事を言っていた。
斜め前の席に座る、本当の立案者である英司は何故かショックを受けていた。
まぁ女子にあれだけ言われればな……。
「まぁ、説得力が違うよな? 他の男子とは」
「正直英司との反応の差は見てて少し可哀想になったが……」
「うるせぇ! 誰が立案したと思ってんだ!!」
お前らなんで毎回俺の机で話をするんだよ。
休憩時間はスマホゲームをする貴重な時間なんだぞ。
なんて事を俺が考えていると、今度は井宮と高城がやって来た。
「男子はエロい事しか考えてないのがバレバレなのよ」
「おいおい待てよ井宮」
「俺達とこのド変態を一緒にするな」
「誰がド変態じゃ!!」
井宮がゴミを見るような目で八代と九条にそう言うと、今度は八代と九条が英司にそう言った。
まぁ確かに英司はこの二人よりもド変態だしな。
「はぁ~あ、嫌だ嫌だ。女子はイケメンに弱くてな」
全くだが、なんで俺の顔を見ながらそう言う。
「別にそんなんじゃないわよ、それに前橋はアンタよりまだマシでしょ」
「何言ってやがる! こいつなんてな! この間俺が巨乳物のえr……」
「おい馬鹿! それ以上言うな!!」
この野郎!
またしても俺を変態の道に巻き込もうとして、この間こいつから借りた『巨乳女子高生10連発』の存在を井宮達にバラそうとしやがった!!
「離せ圭司! お前もド変態だろうが!!」
「何を言ってやがる! 俺は別にド変態じゃない! 普通の男子高校生だ!」
「普通の男子高校生は彼女でも無い女の子に彼女のおっぱいっていつ揉んで良いの? なんて聞かないけどね……」
しまった!
別な方向から俺の変態エピソードが発覚してしまった!!
「意外と前橋もあれなんだな……ちょっと安心した」
「なんだよ~前橋そう言うの全然興味無いと思ったら、ちゃんと興味あんじゃん。今度俺のオススメ貸してやるからな」
八代と九条が温かい目で俺を見てくる。
おい、やめろ!
なんだその母親のような笑顔は!
なんだか、高校に入ってから人と話す機会が増えたからか毎日疲れる。
正直俺は放って置いて欲しいんだけどな……。
そんな事を考えていると、スマホにメッセージが入った。
ゲームの通知かとも思ったが、残念ながら川宮さんからのメッセージだった。
『圭司君今日は事務所に来るかな? 良かった晩御飯でも一緒にどうかな? お姉さんが美味しい物を作って上げるよ』
残念ながら夜は買ってきた漫画を読むと言う大事な用がある、川宮さんのお誘いはお断しよう。
残念だが、四カ月ぶりの新刊には変えられない。
そう思って返信しようとしていると、後ろから声を掛けられた。
「け、圭司君? そ、その人ってもしかして……」
「え? あっ!」
俺は咄嗟にスマホを隠す。
やばい、こんなメッセージのやり取りをしているなんてバレたら、川宮さんと付き合ってるみたいに思われる!!
そんなの色々面倒過ぎる!!
「あ、あぁ……あの仕事の話しだよ」
「そ、そっか……ごめんね、のぞき見しちゃって」
「いや、目に入っただけなら仕方ない」
今度から川宮さんの通知はオフにしておこう……。
「そ、それよりも衣装はどうするの?」
「そう言えば英司が調達担当だったけど大丈夫なのか?」
「ふっふっふ……俺を舐めるなよ! 俺の人脈を使えば、そんな物すぐに調達可能じゃい!」
「変な所で頼りになるな」
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