第113話 文化祭編02
クラス中の視線が俺を集まる。
先生はあくびをしながら空を見ている。
いや、先生仕事をしろよ!
「え? 前橋くんもこの変態の意見に賛成なの?」
「良いのよ、別にこの変態を庇わなくても」
「あれ? 俺って女子からそんな風に呼ばれてるの? やばーなんか泣きそう……」
涙を浮かばる英司をよそに俺は考える。
うーむ、メイド喫茶か……正直メイドさんには興味があるし悪くないと思う。
しかし、そうなると文化祭前の準備も当日の作業も大変な上に、女子からはこの変態と同列に扱われてしまう。
まぁ、確かに井宮や高城のメイド服は見てみたかったりする。
いや、だって友達のそういう姿って新鮮でなんか面白いじゃん?
コミケに言って友達に合って、その子がコスプレしてて大爆笑みたいな?
まぁ、なので俺はみんなにこう言っておこう。
「まぁ、正直見てみたい気持ちもあるが、女子が嫌って言うことを無理にさせるのはだめだろ?」
完璧な答えだ!
決して誰の味方をするわけでもなく、自分の意見も最小限にしか述べていない。
これであとは話がそれれば……。
「け、圭司君……め、メイド服見てみたいの?」
「ん? まぁ、俺だけじゃないだろう? 女子がメイド服を着てる姿なんて一生に一度見れるか見れないかだ、そんな普段の制服姿とのギャップに心打たれない男子はいないだろ?」
ま、俺だけがみたいわけじゃないという気持ちも話しておかないと俺も変態扱いされそうだからな。
「わ、私別にメイド服良いかも……」
「え?」
「わ、私も……そこまで露出多くなければ」
「ん?」
「だ、男子は変態ばっかりでいやねぇ〜、でも……まぁ少しくらいなら良いかな?」
「んん〜?」
なんか変な方に話が流れて言ってるぞ。
いやいや、お前らさっきまで絶対嫌みたいな雰囲気だったじゃん!
良いんだよ、メイド喫茶なんてやめて、みんなで仮眠室にしようぜ!
絶対に楽しいよ!
「じゃぁ、メイド喫茶で良いかな? なんか女子も納得してるし、男子は言わずもがな……」
「「「賛成!!」」」
「らしいから、メイド喫茶で決まりかな?」
「「「「「意義なーし!」」」」」
えぇ……なんでこうなるんだよ……。
てか、男子やめろ!
なんでみんな俺に向かって目をキラキラさせながらぐっとのポースしてくるんだよ!
そんなに見たかったの?
「ん? 決まったか?」
「はい、先生メイド喫茶って許可おりますか?」
そうだ!
まだ最終防衛ライン先生が居た!
こんなメイド喫茶なんて許可が降りるわけ……。
「あぁ、良いぞ」
なんでだよ!!
「ん? 大丈夫か圭司? なんでいきなり頭から倒れた? 熱中症か?」
隣の英司がそんなことを言ってくるが俺は何も答えない。
忘れてた……この学校が先生も生徒も個性的で、自由な校風が売りの学校。
メイド喫茶くらい簡単に許可が降りるってことか……。
「でも、女子だけメイドって不公平じゃない?」
「男子もなにか着なさいよ!」
「じゃぁ、迷彩服なんてどうかな! かっこいいし!」
平岡、お前が黙ってろ、そして多分誰も聞いてないぞ。
「うーん、男子には何を着てもらおうかしら……」
「うーん……男子……男子……圭司君……あ! ねぇ執事服なんてどう!?」
「「「あぁ〜良いわねぇ〜」」」
あの、なんか今一瞬、俺の名前を口にしなかった?
「はい! 私はワイシャツにエプロンが良いと思います!」
「「「「有り!」」」」
高城!
お前まで何を言ってやがる!
絶対そんなイケメンが着るみたいな服、クラスの男子全員が着て全員似合う訳ないだろ!
似合うのは一部のイケメンだけだっつの!!
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