第94話 ストーカーってマジで怖いよね?
『違いますよ』
「いや、違わねぇだろうが」
『そんな話は今どうでも良いのよ、それより何か心辺りはない?』
「どうでも良くわねぇよ。あぁ、昨日電話ならきましたけど」
『何か言ってなかった?』
「いえ、別に……あ」
『何か心辺りがあるの?』
「いえ、変わったことは無いかって聞かれましたね、なんでそんな事を聞いたのかはわかりませんけど」
『変わったこと? 何て答えたの?』
「この前から視線を感じると」
『………』
「犯人は貴方ですよね?」
『……てへ』
「いや、可愛くねぇんだよ。昨日もう俺の後をついてきたくせに、結構怖かったんですけど」
『え? 昨日? 私が君をストーキングしたのは貴方があの子とデートをした時よ』
「え……じゃぁ、昨日のあの視線は……」
本当に誰だったんだ?
俺はこの人が俺と川宮さんをストーキングしていたという話の下りから、昨日ストーキングをしてきたのもこの人だと思っていた。
「う、嘘をついてるとかじゃ……」
『なんでそんなどうでも良い嘘をつくのよ』
「ま、まぁそうですよね」
じゃぁ、一体誰が俺を?
まさか……川宮さんも誰かにストーキングされてる?
もしかして、その相手から何か脅迫まがいの事を?
あのデートで川宮さんは完璧な変装をしていた。
しかし、その変装を見破っているファンやストーカーが居るとしたら?
俺とのデートをネタに脅迫されているとしたら?
「あのもしかしたら川宮さん何かあったのかもしれません、何か聞いてみてくれませんか?」
『えぇ、今日事務所に来たら聞いてみるつもりだけど……』
そうか、あの人も俺と同じ学生だ、平日の昼間は学校に行ってるよな?
俺はなんだか嫌な予感がした。
昨日、誰かにつけられているという恐怖を俺も体験した。
男の俺でもあんなに怖かったんだ、女性の川宮さんはどれだけ怖いのだろうか?
「………それじゃぁ俺はこれで」
『えぇ、朝からごめんね』
俺は電話を切り学校に行く準備を始める。
しかし、どうしても川宮さんの事が気になってしまう。
「あぁ! もう面倒くせぇな!!」
俺は家を出てから直ぐに川宮さんに電話を掛ける。
しかし、川宮さんは電話に出なかった。
「出ないか……確か川宮さんは一宮学園(いちのみやがくえん)だったな」
川宮さんが通っている学校は一宮学園という芸能科と呼ばれるタレントを育成するための専門学科がる高校だ。
校門には常に警備員が常駐しており、学校に通っているアイドルや女優、芸能人の学生を守っていると聞いたことがある。
「事が一刻を争うとしたら大変だが、昨日の電話の様子だとまだ少し余裕はありそうだな」
俺は放課後まで待って、一宮学園に行って見る事にした。
学校でもずっと川宮さんの事を考えていた。
もし、俺とのデートが原因で何かトラブルに巻き込まれているとしたら、その責任は俺にもある。
「おいどうした平斗? 珍しいなお前がスマホゲームをしてないなんて」
「ちょっとな……英司、一宮学園ってどうやったら中に入れるか分かるか?」
「え? なんでそんな事を急に? あぁ……まず無理だろ? だってあそこの学校って芸能人が通う学校だろ? 校門で学生証でも提示しないかぎり中になんて入れねぇよ」
「だよな……」
「それか提携してる事務所の人の名刺を提示するとかじゃないか? ま、そんな知り合いいねぇと思うけど」
「……なるほど」
そうだ、あのマネージャーさんの名刺なら中に居れてもらえるかもしれない。
俺は昼休みにさっそくマネージャーさんに電話を掛ける。
『え? 私の名刺?』
「はい、貸してもらえませんか? ちょっと川宮さんに確認したいことがあって」
『そう言う事なら良いけど……悪用はしちゃだめよ?』
「しませんよ。じゃぁ三時過ぎ頃、校門の前で待ってますからお願いします」
『わかったわ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます