第91話 視線の先には俺!?
*
学校に行くと、なんだか俺は嫌な視線を感じた。
なんだろうかこの視線は?
まるで誰かが俺に向かって何かを責め立てているような……。
「なんだか視線を感じる」
「今更かよ」
俺がそう言うと斜め向かうの席の英司が俺にそう言ってきた。
今は授業の合間の休憩時間、俺は机に座ってスマホを弄りながら英司に続ける。
「いや、なんか視線を感じるんだよ、それも二人」
「は? 二人? 学校中の全女子生徒とかじゃなくて?」
「なんでそうなる? そんなの感じるわけないだろう、何馬鹿な事を言ってるんだ? あ、そうか元々馬鹿だったな、すまん忘れてくれ」
「忘れるかクソ野郎、お前も馬鹿だろうが」
しかし、教室に居ても感じるこの視線はなんだ?
まるで誰かが俺の事を良く思っていないような……。
「よぉ前橋」
「また笹原と喧嘩か? ダメだろ仲良くしねーと」
「なんだ、またお前らか、最近よく来るな」
「いや、クラスメイトなんだし話ぐらいかけるだろ?」
俺と英司が話をしていると、九条とは八代が話かけてきた。
こいつらは宿泊学習後からなんだか慣れ慣れしい。
「視線を感じる?」
「なんだよ、そんなの今に始まった事じゃないだろ?」
「いや、今までは感じなかったんだが」
一体なんなのだろうかこの視線の正体は?
今も後頭部に感じる。
まさか後ろに!!
「あ……」
「ん、どうした井宮?」
そう思って後ろを振り向いたが、いたのは井宮と高城だった。
こいつらが視線の正体な訳ないな。
高城とも井宮とも結構一緒に居るけど、その時に感じる視線じゃないし。
それにこいつらは俺にそんな視線を向ける奴らじゃないし。
「べ、別になんでも……」
「あ、あははは……きょ、今日はいい天気だね!」
「いや、曇りだけど……」
「あ……な、なんか良いよね! その……雲が厚くて!」
どうしたんだ高城は?
なんか分けわかんねー事言ってるけど……。
「そ、それより何を話してたのよ」
「あぁなんでも前橋が視線を感じるらしい」
九条の説明に二人はなぜか視線をそらした。
「へ、へぇ……そうなんだ……」
「こ、怖いねぇ……誰かに見られてるのかなぁ?」
「いやいや、でも前橋なら視線を感じるくらい日常茶飯事だろ?」
「その視線に慣れた前橋が言ってるんだぞ、きっとすごい視線なんじゃないのか?」
なんだよすごい視線って。
そう言えば、川宮さんとのデートの時も視線を感じたが、その時とは何かが違うような……。
「うーむ……ま、良いか、放っておけば収まるだろ」
「お前それで良いのかよ」
「あぁ、別に今のところ実害ねぇし」
俺がそう言うと英司は少し心配そうに俺を見ていたが、後ろの井宮と高城はなぜかホッとしていた。
「害ねぇ……前橋気をつけろよ」
「何がだよ」
「いや、俺の思い過ごしだと思うが……お前に恨みを持ってる人間がお前を見ているのかもしれない」
「なんだよ、怖いことを言うな九条。俺はメンタルが弱いんだ、泣くぞ」
「いや、真剣に聞けよ。一人になった時は気をつけろ、背後からグサリ!! なんてことがあるかもしれん」
「マジで怖いことを言うなよ……一人で帰れなくなるだろうが」
「あぁ、九条あれか? 中学時のバレンタイン事件、まだお前引きずってるのか?」
「え? 何? 実際あったの? マジであったの!?」
「あれは酷かった、まさか背後からスタンガンを持った女子が近づいてくるなんて……」
「いや、それどういう状況だよ!!」
「お前もモテるもんなぁ~モテる男の宿命ってやつだろ? あれ以来バレンタインデーは制服の下にあれ着てるんだろ?」
「あぁ、防弾チョッキをつけているから今年は無事だった」
「何? 今年はってことは去年は何かあったの!?」
「まぁ、俺が言いたいのはストーカーは怖いってことだ。お前もモテるんだから気をつけろ」
九条がそう言った瞬間、教室に先生が入ってきて授業が開始された。
えぇ……何、そんな事がリアルで起きてるの!?
てか、あいつ良く無事だったな、なんだよバレンタインデーに防弾チョッキを着る高校生って、聞いたことねぇよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます