第87話 デートは計画性が大事
「なんでもないわ、こっちの話だから気にしないで」
宮河さんはそう言うとそれ以上は何も言わなかった。
その後すぐに映画の予告が始まり本編がスタートした。
映画は人形がたくさん飾られた今は誰も住んでいないお屋敷に遊びに行った高校生たちがそこで怪現象に襲われるというものだった。
CGや合成技術などを上手く使い、すごく凝った作りの映画になっていた。
おかげで今日は一人で夜中トイレに行けなさそうだ、どうしてくれるんだ全く。
「いやぁ~面白かったわねぇ~特に主人公の友人が切り刻まれそうになるシーンが最高で!!」
「そ、それはよかったっすね……」
俺は慣れないホラー映画を見て少し疲れてしまった。
てか、今のホラー映画ってこんなに怖いの?
普通に夜夢に出てきそうなんだけど!!
俺たち映画を見終えて、映画館を後にした。
「さて、次はどこに行く? ちゃんとデートプラン考えてきた?」
「まぁ、引き受けるにあたって一応……」
「え? 嘘、本当に考えてきたの? やるじゃん」
「まぁ、報酬はもらってるんで……それにアイドルの宮河さんの貴重な休みでしょ
? 少しは楽しんでほしいと思って」
「え……」
休日がいかに貴重で大切な物か俺にはわかる。
まぁ、俺以上に宮河さんにとって休日は大事かもしれないが。
休日は基本的に自分の時間に当てたい、そう言う人間は結構いると思う。
誰にも邪魔されず、趣味に没頭したいと思う人も多いだろう。
恐らくそれはアイドルも同じじゃないだろうか?
毎日毎日、人と関わるばっかりの仕事だ、休みの日くらい自分のしたいことをしたいはずだ。
だから俺は出来るだけ宮河さんが喜びそうなデートスポットを事前に調べてきた。
「まずは飯を食いに行きましょう。もう予約もとってあります」
「え? 本当に? 何のお店なの?」
「チーズ専門店です。確か好きでしたよね?」
「え? なんで知ってるの?」
「事前に公式のプロフィールを見させてもらいました」
デートとは女と男の戦争だ。
戦争に勝つために必要なのはまずは情報だ。
だから俺は宮河真菜という人物について片っ端から調べ、このデートプランを練った。
「な、なんかオシャレなお店ね……結構するんじゃないの?」
「あぁ、その点はご心配なく。ランチだとこのお値段で食べられる上に俺たちみたいな高校生の客も居ます」
「なんて完璧なリサーチ……しかもお手頃……」
当然だ、この日の為に俺はギャルゲー三本エロゲー5本をクリアしているのだ。
俺のリサーチに死角はない。
「あ、美味しい!! 何これ!?」
「気に入りました?」
「えぇ、ここ美味しいわ~、なんかハマっちゃいそう」
「それは良かった」
よし、昼ご飯は気にってもらえたようで良かった。
てか、このアイドル良く食うなぁ……。
「あ、デザートにチーズケーキがある! すいませーん!!」
まだ食うんだ。
体系とか維持出来るのか?
昼食を取った俺たちは食後の運動がてら近くの公園に歩いて向かった。
「それで、次はどんな楽しいところに連れてってくれるのかな?」
「まぁ考えてはありますよ」
「ほぉ~じゃぁ楽しくなかったらどうする?」
「なんでもいう事聞きますよ」
「言ったなぁー! じゃぁ楽しくなかったら私の言う事なんでも聞きなさいよ!」
そんな話をしながら俺たちは次の目的地に向かった。
次の目的地、そこは正直言うと俺も少し楽しみにしているところだ。
「か、可愛いぃ~!!」
「おぉ……モフモフが……モフモフが近くに……」
俺たちが次にやって来たのは猫カフェだ。
宮河さんのプロフィールに猫や犬の動物が好きと書いてあったので来てみたのだが……正直俺も前から気になっていた。
いつか井宮でも誘って来ようと思ったが、まさかこんな形で来ることになろうとは。
「いやぁ~可愛い~なにこの子? なんでこんな足が短いのぉ~」
「それはマンチカンだからですよ」
「この子はなんで耳が垂れてるのぉ~」
「それはスコティッシュフォールドだからですよ」
「なんでこの子はこんなにぶちゃいくなの~」
「失礼ですよ、ブサ可愛いと言ってあげて下さい」
猫を見てはしゃぐ宮河さん。
正直俺もここは楽しい。
猫たちは人懐っこくて甘えてくるし、数も多い。
もしかしたらここは天国なのかもしれない。
「私、ずっとここに居たいわ」
「それは無理ですよ」
意見には同意するが。
「なかなかやるわね……思わず楽しんじゃったわ」
「それは良かったです」
猫カフェを後にした俺と宮河さんは街中を歩いていた。
もう夕方なので後は適当にぶらぶらして解散というのが俺のデートプランなのだが……。
気のせいか後をつけられている気がしてならない。
「今日は楽しかったわ」
「え? あぁ、それは良かったです」
「カップルの気持ち、何となくだけどわかったかも……ありがとね、協力してくれて」
「またもう一回あるんですよね? お礼はその時で良いですよ」
こんな話をしている間も俺は誰かからの視線を感じる気がしていた。
気のせいだろうか?
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