第60話 宿泊学習編37
「だ、誰もそんな事思ってないから安心して!」
「そうだと……良いんだが……」
はぁ、高城にまで同情されてしまった。
俺って奴はブサイクだし、女子の前で泣くし、もう本当にどうしようもないな……。
「それで……話ってなんだったんだよ」
「あぁ、それなんだけどね……あのさ……その……前は断れれたんだけど……改めて私と……と、友達になって!」
「え、無理」
「即答!?」
「いや、だって無理なものは無理だもん」
友達は増やさない主義だ。
それに前から言っている通り、俺の友人枠はもう英司で埋まっている。
今更増やすなんてことは出来ない。
「うぅ……じゃ、じゃぁどうしたら前橋君の友達になれるの!!」
「え? あ、いや……そ、それは……」
なんだか半ば半ギレ気味に高城が俺にそう言ってくる。
てか、なんで高城は俺とそこまで友達になりたいんだよ……あれか? 『どんな人とでも友達なります私は!』的な良い女アピをしていたのか?
「まぁ、あれだ……これは俺のポリシーみたいなもので、友達が増えると面倒だから新しい友達を俺は作らないようにしてるんだよ」
「な、なんでそんなポリシー持ってるの? 皆と仲良くすれば良いじゃん」
「……皆仲良くねぇ……」
確かにそれが出来るのなら、俺はこんな考えを持たずに済んだのかもしれないな。
でも、俺はそういう考えを持つようになってしまった。
友達なんて上辺だけ、そんなイメージが俺には根付いてしまった。
「悪いけど、そういうことだから俺は高城と……いや、今後誰と友人関係になる気は無いよ」
「そんな……」
別に高城が嫌いな訳じゃない。
でも、俺はそんな簡単に友人を増やしたくはない。
また……あんな事が起こるのが嫌だからだ。
「……なんで……」
「え?」
「なんで……そんなに変わっちゃったの……」
「た、高城……」
「む、昔……優しかったのに……」
高城はそう言いながら泣き出してしまった。
え? なんで?
俺なんか不味いこと言った!?
嫌でも……そこまで酷い事を言ったつもりはないのだ……。
「え? あぁ……いや、だからあの……」
「昔は……友達だったのに……」
「え?」
昔は友達だった?
一体どういうことだ?
まさかと思うが……もしかして高城は俺の小学生時代を知っているのか?
俺がそんな事を考えながら、泣き出してしまった高城をどうにかしようとアタフタしていると、突然近くから小石が転がる音が聞こえた。
俺は誰か居るのかと思いすぐに音のした方向を振り向く、するとそこには……。
「い、井宮……」
「え……あ……ま、前橋……」
なんだ、この浮気を目撃された旦那みたいなポジションは!
いや、違うよ!
俺は浮気も何も悪いことはしてないよ!
なのになんだ!
その『やべー見ちゃった……』みたいな複雑な顔は!!
「い、井宮これはだな!!」
「あ、アンタ……また何か失礼な事言ったの?」
「いや、これは高城が急に……」
「うっ……前は優しかったのに……なんでこんなに酷く……」
「え?」
「おい! なんか意味深な感じでいうな!」
「あ、アンタまさか……」
「いや、違うよ! 井宮が考えてるようなことは何も無いよ! てか俺の性格知ってるだろ!」
何か勘違いしている井宮の誤解を解き、俺は井宮に手伝ってもらって高城をなんとか泣き止ませることに成功した。
「はぁ……全くアンタは何をしてるのよ」
「いや、別に俺は……」
「まぁ、どうせまたアンタが無神経な事を言ったんでしょうけど」
「勝手に決めつけるなよ!」
なんで全部俺が悪い見たいになってんだよ……別に俺は高城の申し出を断っただけだ。
何も悪いことなんてしてない。
と言うか、俺は高城に聞きたい事があるんだ!
さっきから昔はって言ってるけど、昔ってなんだ?
もしかして高城は俺の過去を知っているのか?
「なぁ、高城」
「うっ……な、何?」
「お前に聞きたいんだけど……昔ってどういうことだ? 俺と高城って高校入学前にどこかで会ってるのか?」
「………やっぱり思い出さないんだ」
「え?」
何を言っているんだ?
思い出すって何をだ?
と言うか、高城みたいな美少女と会っていたら子供の頃の記憶でも残っていそうなものだが……。
「どういうことだ?」
「……ブーちゃん」
「え?」
それは俺が小学生の頃好きだった子のあだ名だ。
それと高城が言っていた昔と一体何の関係があるんだ?
「覚えてる? 太ってたって理由だけでいじめられてた私を前橋君が助けてくれたの……」
「……そ、それはあいつとの……」
ブーちゃんとの思いでのはずだ。
それをなんで高城が?
「覚えてる? 走るのが遅くていつも鬼ごっこで捕まっちゃう私を助けてくれたのを……」
それもブーちゃんとの記憶だ。
「覚えてる? 二人で遅くまで遊んで、お母さん達にすっごく怒られたの……」
な、なんで高城がそれを!?
まさか……もしかして高城はっ!!
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